複雑・ファジー小説

Re: ライオンさんとぼくのお話 ( No.31 )
日時: 2014/05/16 04:51
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

第24話

「和人〜。お昼ごはんできたわよ〜」

そのとき、ママがぼくの部屋にやってきて、声をかけた。

時計を見ると12時になっていた。

「星野くんも一緒にどうかしら?」

「ぼくは・・・」

「きょうはカレーライスなのだん♪」

「カレーライス大好きです!」

そのとき、星野くんの顔がパッと輝いた。

星野くんの今まで見たこともないぐらい輝いた表情。

少女マンガのような大きな目がキラキラ輝いて本当に嬉しそうだ。

「和人、カレーを食べたら、デパートにいこうなのだ。
きょうは戦隊ヒーローショーがあるのだ♪もし、行きたいのなら星野くんも・・・」

「いいんですか!?」

ぱあっと前よりさらに輝く星野くんの笑顔。

この笑顔は今まで見た彼の笑顔の中で一番可愛いかった。

星野くんってひょうひょうとしてて無口で無表情だけど、こんな一面があるんだ・・・・。



ぼくたちはカレーライスを食べたあと、デパートに向かった。

「和人、星野くん、戦隊ヒーローショーが始まるまでまだ時間があるのだ。だから、本屋さん行こうなのだ」

ぼくは行ってもいいけど、星野くんはどうする?

「ぼくもみたい本があったので、行きますよ」

3人並んで歩いているとなんだか本当の家族みたいだ。

星野くんは家族じゃないけど、そんな風に感じられた。

「・・・・ぼくは、和人くんが、うらやましいです」

そのとき、ぽつりと星野くんが寂しげにつぶやいたのを、ぼくは聞いてしまった。



「行くぞ、悪者め、とうっ!」

会場では、ヒーローが縦横無尽に飛び回り次々に悪者をやっつけていく。

「残るはおまえひとりだ!覚悟しろ!」

ところが最後のひとりに苦戦するヒーロー。

と、ここでアナウンスが流れた。

『ヒーローがピンチです。みなさん、声援を送ってください!』

・・・・・。

これは、ぼくも声援を送るべきなのかな?