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複雑・ファジー小説
- Re: 四神物語 ( No.1 )
- 日時: 2014/05/16 17:18
- 名前: 梅 ◆9KV72UfMbo (ID: y1N6F4if)
第1話
「おはよう」
「ああ、おはよう」
そんなたわいのない会話をしているのは私、遥と亜鈴。
「またあいつらは起きてこないんですか?」
「うん、そうみたい」
目の前には朝餉が4人分用意されている。
「男って本当に寝坊ばかり。起こしてくる」
そう言って亜鈴が部屋を出ようとすると、ちょうど2人が入ってくる。
私たちは、今年で18歳になる。
幼い頃に四神が宿っていることを知ってから、同居している。
「眠い・・・・」
哉太が頭を掻いていう。
「ほら、朝餉を食べてください。今日は端土山まで行く日でしょう?」
私たちは、月に1回端土山へ通っている。
それは、ある薬草を取るため。
「千寿草」という薬だ。
四神の力が暴走するのを抑える薬。
「・・・・めんど」
ボソッと呟く廉を亜鈴が叩く。
「早く着替えてきてください」
私はそれだけ言うと、1人居間から出た。
私には他の3人に言っていない秘密がある。
それは、私に「鬼」の血が混ざっていること。
父親は鬼だった。
純血ではないが、それはかなりの事で。
知ったのはつい最近。
自分でも受け止められずにいた。
初春の冷たい風が頬に当たる。
それは、今までとは違う、何かの「始まり」を意味していたのかもしれない。
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