複雑・ファジー小説

Re: 怪獣少女の非公式ガイドブック ( No.3 )
日時: 2014/05/23 21:42
名前: 翡翠 (ID: XinQFKh.)

「あの子を引き入れるわよ!」

平穏な一日の始まりは、姫のその一言だった。
「あぁ?あの子って、あの小娘のことか?」
これは俺、クロの言葉。
「新しいのがくるの。姫?」
「ぐぎゅうう?」
色とぐぎゅ。
色は目をきらきらと輝かせ、姫を見つめる。
「そーよ。リーダーの私が言うんだから文句なし!さあさ、まずは昨日のお詫びからよねー。」
リーダー・・・今は、その地位が悪用された瞬間である。
姫は自由で、悪く言えば自分勝手な性格だ。そもそもなぜそんなやつがリーダーになるのかがわからないのだが、なぜかこの組織のリーダーになってしまっているのである。
「お詫びって、あれのか。」
「お詫びって、あれのよ。」
この勝負、負けたり。
自分はどうも女の子のことがわかっていないらしく、今回のような事はよくあるのだ。しかしどうやら姫があの娘の事を気に入ってしまったらしく、今回だけやけに熱がはいっていた。
「女の子だからー。やっぱり洋服よねー。あんまり持ってなさそうだったし!」
姫は楽しそうにある冊子を俺に渡した。
それはホッチキスで止めてあるお手製のもので、ところどころデコレーションされていた。真ん中にはカラフルな『調査報告書』という文字が躍っている。
一枚めくる。

名前:瑠空 読み:ルク
両親は彼女が3歳のころに、交通事故で亡くなった。それ以来、瑠空は施設での生活を送っている。
どこかしら周りの子供となじめないところがあり、人間の友達は少ない。その代わり動物なら沢山いる。
温厚な性格だが、いやなことに触れられると、考えるより先に手が出る癖がある。

「・・・これ全部お前がつくったのか」
「うん!」
分厚い報告書を見せると、姫は元気よくうなずいた。
なるほど、家事全部俺に任せているだけあって時間があるんだな。うん。

(時間がないので保留。続きはまた明日書きます)

Re: 怪獣少女の非公式ガイドブック ( No.4 )
日時: 2014/05/25 20:10
名前: 翡翠 (ID: XinQFKh.)


なるほど、家事全部俺に任せているだけあって時間があるんだな。うん。
・・・今晩の姫のおかずへらしとこう。

組織。一般の人間はこの言葉を聞いてなにを思うだろう。
秘密?陰謀?はたまた悪役とか?
俺たち——俺と姫と色とぐぎゅ——で成り立つこの組織には、それの一文字も当てはまらない。
古いアパートに住んでいるから、秘密なんて守れたもんじゃ無い。陰謀なんて考えてないし、ていうか考えるだけ無駄。悪役・・・は、ないと考えたい。
そこに一人の少女が加わったって別に問題はないし慌ててなんてないし顔合わせるのきついとか思ってないし、いや問題ありすぎだろ孤児院てなに絶対めんどくさい奴だって入れるのやめようぜなんて俺は断固として思ってn(略)。

「・・・。」
「・・・なんだよ、姫。」
突き刺さる姫の視線。
ああ、これはあれだ。絶対なにか企んでる顔だ。
「クロ、あんたいろんな布生地持ってたわよね?全部持ってきなさい、服作るわよ!」
・・・やっぱり。

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「姫、これはなんだ。」
「何言ってるの、服に決まってるじゃない。」
服か。これ服か。
俺はまさにボロぞうきんというべきにふさわしい物体を持ち上げる。
一方色の方はというと、正座をして布をじっと見つめていた。
「なにやってんだ、色。」
「生粋の天狗が人間の服なんかつくれるはずないよ・・・。」
「・・・布を無駄にしなかっただけ偉いな。おまえ。」
少なくとも姫よりは大人だ。まだ子供なのに。

というわけで、俺たちはその小娘への『お詫び』なる物を製作していた。だいぶ難航してるが・・・本当にうまくいくんだろうか。