複雑・ファジー小説

Re: 空を翔ける少年【キャラ募集だぜyeah!】 ( No.10 )
日時: 2014/06/06 17:32
名前: ブラックホール (ID: gOBbXtG8)
参照: コメント返信は>>4で行っております。

「う、ん……」
「おっと」

 俺がその女の子を助けてから、数時間もしないうちにその子は目を覚ました。
 気を失っていた原因は、きっと睡眠薬などではなく、少し眠気を促す薬草などを使ったのだろう。
 例えば、ラベンダーのきついアロマとか。まあ、俺はハーブとか全然知らねぇんだけどな。

 むくりと起き上がったその子。
 何が何だか分からない、というような表情で周囲を見渡したかと思えば、俺に気付いて一瞬体を震わせた。
 ——失礼な奴だ。それとも対人恐怖症なのか。

「だ、誰……」

 その子は震える声で、俺を警戒しながら俺が誰かを訊ねてくる。
 言いたいことや聞きたいことは山ほどあったが、それ以前にコイツ、一番大事なことを忘れているらしい。
 俺はそれをぶつけることにした。

「俺は天城浩輔。っつーかお前、何しようとしてたんだよ」
「え?」
「え? じゃねぇよ!」

 俺はその子の反応を確認するや否や、思わず声を荒げてしまった。
 悪いことしたなと思った。その子がまた身体を震わせたのだから。だが、それ以前に、だ。
 俺の言いたい——というよりその子がしようとしていたであろう——「何」とは、言わずもがな自殺行為の事。
 これについては声を荒げざるを得ない。

「あのなぁ、気安く命を放り捨てようとするな。俺がいたからまだしも……」

 途端、その子の目つきが変わった。
 何か、譲れない考えを言い張りたいというような視線を俺に向けている。
 俺は、何か違和感を感じた。

「何も知らない餓鬼が、赤の他人がよくそんな事言えるな」

 その言葉を聞いたとき、俺は曖昧に感じていた違和感が確信たる違和感へと変わった。
 先ほどまでとっていたその子の態度が、今のそれとまるで正反対になったのだ。
 身体の震えがいつの間にか止まっているらしく、第一印象の性格と口調も変化している。

 何より、先ほどまでとオーラが違う。
 俺が抱いていた気が弱い控えめな少女というイメージが崩れ去り、気の強い強情な少女へと変化したくらいに。
 ただ、演技というわけではないっぽい。素性が出てきたわけでもないようだ。

 一体なんなんだ。強烈な疑問が渦巻いたが、俺は思い出した。この妙な性格変化の原因を。

「もしかしてお前、二重人格者か?」
「——えっ…………何で、分かったの?