複雑・ファジー小説

Re: レイの旅-SEED- ( No.1 )
日時: 2014/06/01 16:01
名前: 雪うさぎ ◆rsq0lAj0.g (ID: gOBbXtG8)
参照: トリップ付け忘れてました。

「帰ったか。どうだ?」

 低く覇気のある声が響く、城の王宮のような場所があった。
 鎮座する数々のインテリア、壁、床。どれもこれも白黒となっている。
 敷かれているレッドカーペットのようなものも、白黒の布として敷かれている。
 レッドカーペットならぬ、白黒カーペットというべきか。その途中で、左半身に1つの白い翼を生やした青年が立っていた。

「そうだね……あの子はやりやすかったよ」

 その青年は翼だけでなく、衣服や髪も白い。
 瞳は空色に光っており、身体の至る所に包帯が巻かれているが、怪我をしているわけではないようだ。

 そんな青年の先には、座り心地のよさそうな背もたれの高い椅子に座る男性がいた。
 深く被った黒いニット帽子が仮面のような役割を果たしており、素顔が隠されて見えない。
 足を組んで肘を椅子にかけているその男性。右手には、宝石のような輝きを放つクリスタルが抓まれている。

 男性が座っている椅子も、やはりというか白黒だ。そもそもこの場所そのものが白黒で、全てはただの白黒ではない。
 何かを司るような、魔性の篭った白黒である。白い翼を持つ青年が、まるでこの場の"白"を司っているようだ。

「本当に上手くいったのか?」

 白い翼を持つ青年と同じ声が響く。
 発生源は、椅子に座っている男性の隣で腕を組んで立っている、黒い翼を1つ生やした青年だ。
 白い翼を持つ青年とは違い、黒い翼を持つその青年は衣服も髪も黒に染まっている。
 瞳からは赤い光が放たれていて、この場の"黒"を司っているような様だ。

 そんな黒の青年に、白の青年は愉快そうに笑いかけた。

「あはは、任せてって言ったじゃないか。次はあの子が対象だよ」

 白の青年と黒の青年。
 性格は正反対だが、容姿は一卵性双生児かのように似通っている。
 見た目はただ、白か黒か、それだけだ。

「仮に失敗していたとしても、またチャンスは巡ってくる。今は待つぞ」

 椅子に座っている男性はそういうと、扉のないこの場所から白と黒のオーラを放って消えた。
 今のは空間転移の一種であり、男性は立つ鳥跡を濁さず、どこか別の場所へとワープをしたのだ。

「ま、今は主の言うとおりだな。いくぞ」
「うん」

 残された白の青年と黒の青年。
 彼らもそれぞれ白いオーラ、黒いオーラを放ってその場から消え去った。