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複雑・ファジー小説
- Re: マジカルスイーツショップ【参照220突破!】 ( No.37 )
- 日時: 2014/06/09 22:19
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
ぼくはガムをダークくんと一緒に噛み始めました。
ガムを噛むことなんて、ここ最近ありませんでしたから、なんとなく懐かしい気持ちになりました。
口いっぱいに広がる優しいオレンジの甘みとミントの香り、それらが絶妙なコントラストを演出して、口の中を幸せでいっぱいにしていきます。
「…うめぇ」
「………」
ぼくがガムをゆっくり味わいながら噛んでいるというのに、ダークくんはさっきから「うめぇ、うめぇ」と同じ単語を繰り返し、くちゃくちゃガムを噛み続けます。
せっかくのムードが、これじゃあ台無しです。
噛み始めてちょうど2分がたったころ、ぼくの口から綺麗なソプラノが奏でられました。
ダークくんは少し低めのバリトンボイスになりましたが、それがまた味があって外見とマッチしています。
ぼくとダークくんは合唱曲や人気の曲などを歌い、上機嫌でした。
幸い誰も他のお客さんが来なかったので、ぼくたちの歌声に気づくものはいませんでした。
ふとお店の大きな窓をみてみますと既に夕焼けが出ています。
「んじゃ、また来るな。きょうは楽しい一日をありがとな」
そう言って夕日をバックに去っていくダークくんには、昔の刑事ドラマに登場する刑事のような、なんともいえないカッコよさが溢れていました。
もしかすると、彼の扱いがよくなる日も近いかもしれません。
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