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「だめです。引き受けることはできませんね」

「そんなこと言わずに引き受けてくれんかのう」

ここは近所でも評判の高い中華料理専門店『王軒』。

目の前に立っている男の子、このお店のひとり息子である王李くんを説得するのは至難の業だ。

彼はこの近所で麺類の料理を作らせたら右に出るものはいないほどの達人だけど、頑固で口が悪い。

おまけに京くんは彼にとってラーメンとうどんという好物の違いから犬猿の仲の状態だ。

しかし、彼の協力を得ないと、このままではおそらく彼は飢えて倒れてしまうだろう。

「お願い、王李くん、人助けだと思って…今回だけでいいから…！」

ぼくは彼が「人助け」という言葉に弱いお人よしということを知っていたため、苦肉の策で涙を流して懇願した。

すると先ほどまでの不機嫌そうな顔が少し優しくなり、

「仕方ないですね。今回だけ引き受けましょう」

としぶしぶＯＫしてくれた。

「そのかわり、ぼくに格闘技で勝てたらという条件付きですが、どうですか？」

彼は１４歳だけどスターレスリングジムで鍛えたその中国拳法の実力は折り紙つきだ。

けれど、ここまで来て引き返すわけにはいかないため、ぼくたちはこの条件を飲んで、彼と戦うことになった。

はたしてぼくたちは彼に勝つことができるのだろうか？