複雑・ファジー小説

Re: ××異能倶楽部×× 【6/27更新】オリキャラ募集予定。 ( No.4 )
日時: 2014/06/28 08:00
名前: るみね (ID: 8hBaEaJR)


  第壱章×弐  [出会い]



「”異能探偵社”……?」





 ぽかんとする桃矢の一方で周囲のチンピラには動揺が広がっていた。

「”異能探偵社”っつったか、今」
 その台詞には明らかな恐れが見えた。
 そこで、桃矢はその組織の情報を思い出した。



 ”異能探偵社”____
 【帝都】に存在する有力組織の一つで、荒事に特化している組織。
 それだけなら普通の組織とあまりかわらない。が、


「まぁ、実際は荒事専門の何でも屋だけどね」 
 鷹人ははぁっとため息をついてみせる。


 それだけでも後ずさる周囲の仲間を見て銃を取り出した男は震えを隠すように叫んだ。
「びびってんじゃねぇよ!てめぇら!こいつがホントに”異能探偵社”だって確実な証拠でもあんのか? はったりこいてるだけかもしれネェじゃねぇか! だいたいこんなひょろっひょろに何が出来んだよ」
 その怒号に仲間たちも殺気を取り戻す。

「やるの?ホントに?」
「うっせぇよ!おっさん」
 恐怖を殺すように叫ぶと男はがむしゃらに手を動かし、銃口を鷹人の眉間に向けた。

「死ねええぇぇぇえぇ!!!!!」

 男は引き金の指に力を込め鷹人に向かって発砲した。
 周囲の誰もが男が血を拭いて倒れると思ったのだが……








「突然撃つなよ。びっくりするじゃないか」




 耳を抑えて抗議の声をあげる鷹人に桃矢はもちろん銃を撃った男もあっけにとられた。

「な、なんで……」
「だからいったろ? やるの?って」
 いままでと変わらない笑顔。しかし、その笑顔は男の背筋を凍らせた。




____”異能探偵社”は普通の組織ではない。







「ば、化け物があぁぁぁぁぁぁあぁああ!」

 絶えきれず続けて撃つが確実に命中しているはずの弾丸は鷹人に迫るとこつ然と存在がなくなっていた。







 _______社員のほとんどが常識では説明する事の出来ない能力をもった”異能者”集団






「無駄だよ。俺の”領内”に入ったら逆らえない」

 まるでおもちゃでも扱うように鷹人は平然と近づくと男の持っている拳銃を取り上げた。
 そこで、男の仲間が思い出したように呟いた。

「狗木って、”探偵社”の狗木鷹人か」


「なんだ、知ってる奴いるじゃん。探偵社でも下っ端だから知られてないと思って結構傷ついてたんだよ?」
 雰囲気に似合わず嬉しそうに笑う鷹人。






「俺の能力は【治外法権】」



「わああぁぁああぁぁぁ!」
 悲鳴に近い声が鷹人の言葉を遮った。男の中にナイフを隠し持っていた一人が鷹人に飛びかかる。


「____俺の【領内】に許可なく武器は持ち込めない」


 突き出されたナイフの刃が鷹人に迫る直前に忽然と消えた。
「!?」
 消えたナイフに驚いて男は鷹人に近づくまえに後ずさった。



「どう、まだやる?」


 ニコッと笑う鷹人を見て男たちは這々の体で逃げ出した。

「もうちっちゃいことでキレんじゃねぇぞ〜」

 高らかに言う鷹人は不意に背後から殺気を感じ、あわてて飛び退いた。
 そのすぐあとを桃矢が追う。

「な、なんなんだ!俺はいわば君の命の恩人だぞ!」

「命の恩人っていうなら、いますぐ俺に飯をよこせ!!!」

 鷹人の能力の事もあって、呆気にとられて忘れていたが、解決した事で先ほど百円を落とされた事を思い出したのだ。


「飯!?」

 とても餓死寸前とは思えない迫力で唸り声をあげて飛びかかってくる桃矢に鷹人は必死で逃げる。


「ここ三日ろくな食事もしてないんだよ!そんな時にせっかく見つけた貴重な百円を!百円を!!」

「百円って……」

「貧乏人の百円を馬鹿にするな!」

 獣ばりの勢いの桃矢にとうとう鷹人も叫んだ。



「わかった、君が困ってるのは十分わかった!」

 それを聞いた桃矢は鷹人に飛びかかる前に動きを止めた。

「えっと。君、名前は?」
「……冬月桃矢」


「助けてくれるのか?」
 少し期待の表情を見せた桃矢の言葉にかぶさるように大通りから男の怒声が響いた。



「てめぇ!バカ人!!! 突然消えたと思ったら、さっきの騒ぎお前の仕業だろ!!!」

 額に青筋を浮かべて凄い剣幕でこちらへやってくる長身の男を見て思わず桃矢は後ずさった。

「おぉ、修ちゃん!ちょうど良いところに!」
「だから、その修ちゃんやめろって言ってんだろ。だいたいなんだその餓鬼」
 鷹人と違い威圧的な勢いに思わず押される桃矢だったが、次に鷹人が放った言葉で固まった。


「紹介するよ。冬月桃矢くん」






   「”異能探偵社”で働いてもらう事にしたから」