複雑・ファジー小説

Re: 続・ウェルリア王国物語-摩天楼の謎- ( No.81 )
日時: 2014/11/21 16:24
名前: 明鈴 ◆kFPwraB4aw (ID: IxtPF2j4)

【第三章 帰国編】
〜〜第二話:助言者〜〜

窓辺から日が差し込んでいる。
気がついたら、すっかり夜が明けていた。

「おはよう、イズミさん」
「遅かったな」

一階奥に位置する食堂に顔を出すと、キリとアスカがそれぞれ別のテーブル席について、紅茶をすすっていた。
それまで二人の間に全く会話が無かったのだと察したイズミは、冷えた空気に息を吐き出した。

「エマさんの姿が見当たりませんね……」

辺りを見回して、イズミはゆっくりと二人に近づいていく。
と、キリがいきなり席から立ち上がった。
かと思いきや、立ち往生しているイズミにすごい勢いで詰め寄る。
その瞳は心なしか、キラキラと輝いてみえた。

「イズミさん、私、考えたんだけどね」

息をつく間も無く、キリは言葉を紡ぐ。

「昨日、村中捜してもマルカはいなかった。それで、考えたんだけどさ。闇雲に捜し回るよりも、居場所を特定してから捜した方が効率が良いと思うの」
「それはそうですね」
「でしょ、そうでしょ」
「はい、キリさんの言う通りです」

いつになく的確なキリの意見に、イズミは半ば圧倒されながらも頷いた。
そうしてから、「でも……」と、思わず浮かんだ疑問を口にした。

「居場所を特定すると言っても、どうやって特定するんです?」
「そこだよな」
「……アスカ、王子」
「オレもその点が気になる」

キリとイズミが振り向くと、アスカはマイペースに紅茶を飲んでいた。
湿らせた唇をぬぐって、アスカは二人を見据える。

「アイツに発信機をつけているわけじゃあるまいし。お前の言ってることは所詮、お前の空想の中での最善策だ。もっと真面目に考えろよ」
「考えてるよっ!」
「どーだか」
「なんでそんな意地悪なこと言うのよ、アスカ!」
「お前に呼び捨てにされるいわれはねえよ」
「そんなのっ……!」
「まあまあ。王子、話くらい聞いてあげましょうよ。ね?」
「…………フンっ」
「それじゃあ、キリさん。その考えを、教えてください」

イズミに微笑まれ、キリはのどを鳴らした。
視線を足元に落としてから、イズミの目をしっかと見据える。口を開く。

「呪術師のおばあちゃんに占ってもらおうよ」

イズミとアスカの目が大きく見開かれた。