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複雑・ファジー小説
- Re: 妖退治屋 いざよい ( No.13 )
- 日時: 2014/08/03 18:33
- 名前: 蜂蜜 (ID: MLDU0m30)
:其の八:赤鬼と青鬼
赤鬼が空にさだめ、突っ込む。避けられる。
青鬼はそれを狙ったように待ち構えるが、途中でなぎなたを持ち直され、避けるためにころがり逃げる。
攻撃開始、回避、攻撃、逃げる。
———きりがない。
あらかたの畳ははがされ、柱が数本折れたが、勢いが弱まる気配など皆無だった。
「空!こいつら二匹とも式紙だ。物理じゃなくて特殊こ・・・おぶ!」
「あんた馬鹿じゃないですか!?そんなに叫んで攻撃がこっち向くのあたりま・・・きゅ!」
「馬鹿はお前らだー!二匹して叫んでんじゃね————」
青鬼の言葉が止まった。
それがあまりにも急な事で、音で満ちていたあたりがしんと静まる。
それは物理はなく、『特殊』———異様、といっていいほどだ。
光が、満ちていた。
美しい光が。
明るく、白く、まぶしいほどに。
———消し去るほどに。
空の近くにいた赤鬼から、消し飛んでいった。
黒い塊がもえつきる様に消えていく。
「あ・・・。」
式紙の中に、ストンと答えが落ちてきた。
「ああ、そうだ。そうか、そうだ。そういうことか———」
まもなく、その体と共に消え去ったが・・・。
光はゆっくりと、だが確実に町を飲み込んでいった。
起き出でる者も少なくはなかったが、光に照らされても、消える気配はない。
「青。」
それは赤鬼のもとにも届いていた。
とっくに零に戻った青鬼の名前をつぶやきながら、うごめく黒いかたまりもろとも消滅した。
その中心。
光にあてられ、白く塗りつぶされた中で、空はうつろに目を開いた。
なにもない空間をしばらく見つめ、ああ、とだけ吐くと、開けたときと同じようにゆっくり目を閉じた。
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