複雑・ファジー小説
- Re: 三千世界の軌跡-Hope of glow-キャラ募集 ( No.18 )
- 日時: 2014/07/24 22:19
- 名前: キコリ ◆yy6Pd8RHXs (ID: gOBbXtG8)
- 参照: トリップが消えていた! 何故だ!
雄介と朱音はビルを出て、現れる敵を倒しながら周辺を探索していた。
どこかに、見えない仕掛けを解くスイッチがあるはずだ。そう信じての上で。
その間に出てくる敵なのだが、依然、件のゾンビのような敵しか出てきていない。
敵がずっと同じものしか出てこないなら、その対処法だってずっと同じことばかりを繰り返すこととなる。
この作業のように単調な戦闘展開に、雄介はそろそろ飽きてきた。ゾンビを相手にして特に体力を消耗するわけでもない。
朱音も、戦闘の経験こそ浅いと見受けられるものの、彼女はまだ護身くらいなら出来ている。
つまり経験を積んだ雄介にとって、この裏世界は"退屈"以外の何者でもないのだ。
「あー、何でこうも同じ敵しか出てこねぇんだ」
「はぁ、はぁ……つ、疲れた……」
「拳銃なのに、か?」
「拳銃だから、だよ! もう、腕が疲れちゃった……」
朱音は拳銃で自分の身を守ってきたが、敵は必然と弱い相手を狙うため、彼女は疲れきっていた。
さらにその拳銃は引き金の重さがそれなりにあり、反動も強く、大口径という上級者向けの仕様になっている。
まだ拳銃の事は差し置いたとしても、命中精度が悪い素人には到底扱いきれないことだろう。
証拠に朱音は、拳銃を両手で支えていた。
その上級者向けの拳銃なのだが、彼女は少なくとも雄介が見ていた限りでは、一度も弾薬のリロードをしていない。
一体どういう仕組みになっているのか。彼は気になり、聞いてみることにした。
「朱音」
「なあに?」
「その拳銃、仕組みどうなってるんだよ? 弾薬のリロードしてなかったろ?」
「あー……あはは。それはねぇ、私の能力なの。弾がなくなるとね、無意識の内に錬金して出来上がるんだよ」
「あぁ、能力か」
能力と聞いて、雄介は納得がいった。
人類の数だけ種類があるといわれる"超能力"ならば、そのような事があってもおかしくはない。
だが、1つだけ引っかかることがあった。朱音の口から零れた"錬金"という単語についてだ。
「でも……錬金?」
「等価交換って知ってるでしょ? 私はそこら辺のゴミとかで弾薬が作れるの」
「すげぇな……」
錬金という言葉は知っているし、勿論今も人類が使える能力の1つである。
ただ、実際に錬金術を駆使できる人物は少ないので、こういった形であっても錬金が出来る人に遭遇したことはなかった。
そういえば、朱音は近い将来に錬金術師になるんだっけか。雄介はここに至って思い出した。
前までいた因果では特に彼女の能力に疑問を抱いていなかったが、今になって思えば不思議な力である。
もしかしたら、過去を——もとい、未来を変える術(すべ)はここにあるのかもしれない。
そう思いつつ雄介は、自分の手を引く朱音にすんなり引かれながら、先へと進んでいった。