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複雑・ファジー小説
- Re: 三千世界の軌跡-Hope of glow- ( No.3 )
- 日時: 2014/07/22 18:25
- 名前: キコリ ◆yy6Pd8RHXs (ID: gOBbXtG8)
2097年11月20日。
その日付が指し示すこの世界は、新しく生まれた因果の地球である。
この時間軸は、出来損ないの世界が出来た時間軸より、丁度2年遡っている。
だからといって何もしなければ、この因果は前回の因果と何も変わらない道を辿る。
変えたい過去がある。その意思が1つ生まれたのだから、こうしてこの因果があるのだ。
『————』
雄介は"時の腕輪"で、この時間軸へとやってきた。
毎度の事なので慣れたものだが、今回は何かが前回の転移より違っていた。
————転移前の記憶が、酷く曖昧なのだ。
『転移前に何かあったっけか?』
だが、考えていても仕方ない。
彼がこの時間軸にいる理由は、前の因果で変えたかった過去が変わらなかったからだけのこと。
考えたところでどうせ、やることは変わらないのだ。
『つくづく便利だな、この腕輪は……』
時の腕輪。
それは雄介の持ち物であり、気付いたら持っていたという謎の代物である。
腕輪の存在に気付いたタイミングでそれを弄った際、彼は初めて、誤ってという展開ではあるが過去に飛んだ事がある。
以来、彼はこの腕輪を恐れて封印していた。
だが"彼女"と出会ってからは、この封印した時の腕輪に頼りっぱなしなのである。
皮肉にも、いくつもの世界の因果が生まれているとも知らずに。
この時の彼は、まだそれを知らなかった。
『さて……』
現在の時刻は8時。
とりあえず学校——曽我宮高等学校——に向かわなくてはならない。
雄介は着々と準備を進め、数分もしないうちに身支度を終えて家を出た。
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