複雑・ファジー小説
- Re: 三千世界の軌跡-Hope of glow-キャラ募集 ( No.49 )
- 日時: 2014/08/07 17:26
- 名前: キコリ ◆yy6Pd8RHXs (ID: gOBbXtG8)
後ほど難なく、裏世界から脱出することに成功した2人。
その際に朱音が使用していた錬金術なのだが、ここに至って改めて、雄介はその力の大きさを思い知った。
山のように巨大な猫が裏世界のボスとして出て来たはいいが、雄介が攻撃を仕掛ける前に、その猫が力尽きたのだ。
理由は朱音の錬金術。
周辺の建物の殆どが一瞬で消えたと思ったら突然、その巨大な猫を一発で潰せるほどに巨大化した金槌が上空に出現。
出現した金槌は案の定、その猫を一発で潰してしまった。
地面には本当に隕石が降ってきたかのようなクレーターが出来上がり、猫の屍は内臓や血をぶちまける暇さえなく悉くを潰されて、宛ら煎餅のように、文字通り真っ平らとなったのである。
「————」
何だか前回の因果よりも、朱音の戦闘能力が飛躍的に上昇している気がした雄介。
現実世界に戻ってきてからも、その潰れた猫と潰した金槌の迫力を忘れられずにいた。今回の因果は絶対何かがある。
朱音の言うとおり、もしかしたらこの僅かな可能性がハッピーエンドへの道しるべとなるのかもしれない。
現実世界でも時間は夜だった。
朝から朱音の救出に向かっていたはずが、思った以上に時間を費やしてしまったらしい。
今日と明日が休日でよかったな。雄介のみならず、朱音もそう思っている。
「お腹空いたねっ」
「あぁ。何かどっか、食いに行くか」
空腹状態の2人は飲食店へと足を運ぶことにした。
「えへへっ、プチデートだね!」
「だからって、手を繋ぐのはやめてくれ」
「えー、何でよ」
「変な誤解を招かれたら困る。夜だからって油断してると痛い目に……」
「何よー変な誤解って。ただ恥ずかしいだけなんじゃないのー?」
「……」
その後の雄介は、ずっと朱音に調子を狂わされ続けた。
◇ ◇ ◇
空腹を満たした2人は、仲良く帰路についていた。
だがその足は、暗闇で倒れている1つの影のせいで硬直。
朱音はその影を凝視し、雄介はそれを目撃するなり溜息をつく。
雄介は携帯電話のライトで、その影を照らし出した。
そして見えたものが見覚えのある人物だったので、またしても溜息をついた。
「ど、どうしたの雄介君?」
「まー、ちょっと待ってろ」
頭にハテナマークを浮かべる朱音を他所に、雄介はゆっくりとその影に近づく。
黒のパーカー。迷彩柄のズボン。軍用のブーツ。深緑の髪。何より近くに落ちている巨大な斧。
雄介は足を振り上げ、その完全に見覚えのある人物に対して踵落としをかます準備を完了した。
そして————
「ぎゃああああああああっ!」
夜の都会に、1人の男性の悲鳴が響き渡った。