複雑・ファジー小説
- Re: 三千世界の軌跡-Hope of glow-キャラ募集 ( No.50 )
- 日時: 2014/08/08 20:32
- 名前: キコリ ◆yy6Pd8RHXs (ID: gOBbXtG8)
「俺に出ろと?」
「えぇ、そうですとも。リンや赤沼優斗を初めとする刺客は、あろう事か全て倒されてしまいましたからねぇ」
「お前はどうしたのだ? 榊原とやらに絶望を見せ、錬金術の力を暴走させる……お前曰く最高のこの作戦を、よもやしくじったというんじゃないだろうな?」
2つの不穏な声が、純粋な暗闇に響く。
響く中で、軽薄な声の持ち主であるクレープは裏世界より帰還し、悪寒さえ走るほどに不気味な声の持ち主——狐のお面をつけた黒ローブの男"ゼルフ・ニーグラス"——と対話していた。
一切の灯火がないこの空間に響く彼の声は、只でさえ恐ろしい声に乗じて不気味さが一段と増す。
クレープはそんなゼルフの声に一切慄くことなく、まるで自分と彼は対等な立場にいるかのような会話をしている。
そんなクレープは芝居じみた仕草で、溜息をつきながら両手を挙げた。
何もかも見えないはずであるこの空間だが、ゼルフには彼の姿を捉えることができている。
「それが、あの忌々しいジャドウとやらに邪魔されてしまいましてねぇ」
それを聞いたゼルフは、彼を鼻で笑った。
「ふんっ、猿が抜かす。差し詰め貴様が先に関わったのではないか?」
「いや、そりゃそうですよ!」
クレープが慌てたような声をあげる。
「ジャドウは私の側にいる限り、必ずや邪魔な存在となるのです。ですので3人同時に相手をしようかとも思いましたが、やはり上手くいきませんでしたね。奴の相手をしながらでは、どうしても逃げられてしまうのですよ」
「なるほど。それで俺に手伝えと?」
「えぇ、そういうことです。例の2つの腕輪を手に入れるためにも、是非ともお願いしたいのですが」
いいだろう。そう一言いい、彼は踵を返してその場を去りはじめた。
クレープも同じく、背後を振り向いて歩み始める。
「全ては歴史を変えるため」
「錬金女王の栄光を支えるため」
お互いの気配が消える瞬間、2人の声が揃った。
そして、凛とした声が虚空に響く。
『————時と因果の腕輪は、私が作り出した最高傑作。壊れたならその時は、森羅万象にとってのハッピーエンドが導けた証になろうぞ。全ては私の、只1つの願いのため。世界が幸せであることを祈って。頼んだぞ、朱音。そして雄介』