複雑・ファジー小説

Re: 創始のカルネージ ( No.5 )
日時: 2014/07/28 16:29
名前: 石鹸糖 (ID: 60TA9nBF)

プロローグ =たった一つの、小さな思い=


幸せって何なんだろう。

そんな疑問が時々、少年の頭の中で発生するのであった。

美味しいものをたらふく食べる事?
大切な人と慎ましく穏かに安らかに暮らす事?
世の中に存在する全ての欲を果たす事?

否、それ達は全て違う。
そう否定しては新たな考えを生み出し、また否定する。
それを繰り返すだけの日々を少年は過ごしていた。その間で色々な物も失った。
それでも少年は考えるのをやめなかった。所詮、その喪失した物は彼にとってどうでもよかったからだ。

しかしある日、その日々に終わりが見えたのである。
少年はようやく真理を掴んだのだ。

「裏切りも無い、傷つくこともない、悲しみもない、他人も存在しない世界」

これこそが幸せだ。
少年は自分が世界の真実を発見できたような気分になり、暫しの間優越感に浸った。

そして、その優越感を他人にも分けてやろうと思い、早速行動に出た。少年は電子機器の電源を入れる。
この真実を広めなければいけない。

皆が幸せを手に入れる為に。