複雑・ファジー小説
- Re: 魔法少女戦記 ( No.67 )
- 日時: 2014/08/09 05:43
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
祝杯が終わった翌日、吾輩は早速部下を集めて今までの敵の戦略を聞き出した。
敵はどうやらサンドイッチと同じく、魔法と言うものを操ることができるらしい。
メンバーは全部で4人。火、雷、風、土の4つの属性を操ることができ、彼らを束ねているのが不動仁王とフレンチ=トーストというふたりの宇宙人とのことだった。
「なるほど。フレンチに不動か…どこかで聞いたことのある名だ…」
吾輩は長い海賊生活で幾度とも言える闘いを経験し、それらのほぼすべてに勝利した。
けれど、全勝というわけではない。
吾輩の力を持ってしてまったく歯が立たない奴らが存在したのだ。
確か奴らの組織名はスターレスリングジムとか言っていたような気がするな…
吾輩はふとその記憶を思い出したので、その組織を宇宙のあらゆる情報が網羅されている、優れもののギャラクシーネットで検索をかけた。
すると、それに関する記事が大量にヒットしたではないか。
「50万件ヒットするとは、この組織、只者ではない…」
独り言をつぶやき、取りあえずオードソックスな記事を開いてみて驚いた。
そのジムは宇宙最強と名高いエデン星人とエンゼル星人が構成員の大半を占めているではないか。
しかも、一部には地球人の構成員も存在している…
規模はそれほど大きくはない組織だが、諜報チーム、護衛チーム、戦闘チームとそれぞれチーム分けされ、知性、攻撃、防御、技ともにすべてが完璧。これでは付け入るスキがない。
よく調べてみると、部下たちが言っていた魔法少女を束ねているという不動とフレンチという奴らも、このジムに所属している。
そうなると、魔法少女とこのスターレスリングジムは協力関係にあり、もし彼女たちが苦戦するようなことがあれば、いつでも加勢に来ることができるのであろう。
そう考えた吾輩は、少し頭を悩ませた。
「まさか、復帰第1戦目がこれほどまでの大敵とは…」
だが、冷静に敵組織と我らの組織を見比べてみると、我らのほうが圧倒的に人数が少ない上に、ちゃんと分担もできていることがわかった。
確かに部下は吾輩がいないと、大幅に戦力低下を促されることが多いが、仮にも惑星を10000も征服してきた最強部隊なのだ。
こちらにもバックボーンは大勢いる。
いざとなれば、スターレスリングジムの本拠地があるというエデン星に最大勢力をぶつければいいだけの話。
それにしてもエンゼル星と真逆に位置するヘブン星という惑星、興味深い…
ヘブン星は昔から名の知れた惑星だった。
なんでも死した悪の魂が集うところらしく、そこの最高権力者がジャドウ=グレイ、またの名を堕天使ルシフェルと言うらしい。
彼はその経歴を見る限り、スターレスリングジムの会長であるスターに高い忠誠を誓っているらしいことがわかった。
もし、彼の弱みを握り、ヘブン星を手中に収めれば地球(部下は全員がチッキューと発音していたが、正確には地球が正しいらしい)は侵略したも同然と考えていい。
だが、ここで問題がある。それはジャドウの裏切りだ。
彼のことを書いた記事によると、彼は巧みな話術で敵と味方を翻弄させ、双方ともに困惑させ、その隙に敵の情報全てを奪い取り、勝利へと導く、いわばキーマン的役割を果たしているらしい。
彼の活躍した闘いが書いてある記事を読んでみれば、彼がいかにスターレスリングジムの重要な要であるかわかった。
裏を返せば全ての情報を知り尽くした彼を完璧に仲間に引き入れる、もしくは跡形もなく消すことができれば、ヘブン星を配下に納めることができるのだが…
吾輩はこのジャドウを倒す策を思いつくために、もう一度彼の記事すべてに目を通した。
ちょうどこれはテストの回答を見直し、間違いがないかチェックする作業に似ている。
すると、吾輩は奴の意外すぎる致命的な弱点を発見した。
もし、ここに書いてあることが事実だとするならば、実に容易く彼を仕留めることができる。
そう確信した吾輩は、サンドイッチを呼び寄せ、指示を与えた。
それを聞いた彼は片膝を立て、ひざまずくと、口を開いた。
「了解しました、大将さん」
彼の返事を聞いて満足した吾輩は頷き、彼がいなくなるのを確認した後、しばらく眠りにつくことにした。
吾輩が目覚めたとき、吾輩の白羽の矢を立てた奴が戦力に加わっているとありがたいものだ。