複雑・ファジー小説

Re: 魔法少女戦記 ( No.69 )
日時: 2014/08/09 22:20
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

試合開始から、既に30分が経過している。

だが、吾輩と彼の実力差はなかなか埋めることができない。

彼の見た目は青年だが、この外見で億年単位で生きている。

つまり、吾輩とは生きてきた年数や対戦歴が違い過ぎる!

すなわち、彼の永遠と言っても過言ではないほどの人生経験に比べれば、吾輩の戦歴など1秒にも満たないということだ。

とにかく、今言えることは、吾輩は彼に大苦戦しているということだ。

最も吾輩とて、そう簡単に倒される輩ではないため、まだダウンこそしてはいないが、彼との試合は苦戦を増す一方だ。

今までの攻防で大まかな彼の戦闘方法を把握しつつあるが…把握しきる前に吾輩の体力が底を尽きてしまうだろう。

「パイレーツさん。あなたはよくがんばっていますね。僕もあなたと全力で闘えて光栄に思います」

「吾輩も光栄だ。そなたのような実力者と闘うのは久ぶりでな…悪いが少し服を脱いで体を軽くしようかと思うが、よろしいか?」

彼はニコニコ笑ってそれを承諾した。

吾輩のマントは30キロ、甲冑は全部で100キロ以上あるため、これを装備して闘うのは相当に体力を消耗するのだ。

「…どうやら、大将さん、本気で闘うおつもりですね?」

サンドイッチがこっそり耳打ちしてくる。

「そうだ。吾輩は本気を出して、彼を相手しようかと思う」

装備を脱ぎ終わった吾輩は、彼に突進するかと見せかけて、力比べを挑む。

「…!?」

彼はやはり予想通りの握力の無さだ。

彼らエンゼル星人は技は切れるが反面、力が弱い。

最も調べると、彼の兄のような例外も存在するが、それは稀らしい。

そのまま少しのけ反り、彼を放り投げる。

だが、そこはさすがと言ったところか、彼は巧みな受け身を取り、ダメージを半減させると、立ち上がってきた。

けれど、その顔には心なしか、動揺と若干の吾輩に対する恐れが混じっている。

彼の表情の些細な変化から吾輩は勝利を確信すると、再び彼を見据え、口を開く。

「では、そろそろ必殺技の応酬といこうではないかーッ!」