複雑・ファジー小説

Re: トリップデイズ ( No.1 )
日時: 2014/08/04 18:37
名前: 金柑 (ID: gOBbXtG8)

 私"佐倉朱里"は最近、休日にちょっとしたお出かけをすることに凝っている。
 凝った切欠は、たまたま買ってみた雑誌の内容に惹かれたのと、仲の良い友達の勧めから。
 雨が降っても雪が降っても、私は用事が無い限り、休日はお出かけをするの。
 たとえ悪天候でも、それなりに楽しむ方法を知ってるんだ。だから、お出かけは好き。

 今日は友達の"藤田実夏"ちゃんとお出かけする日。
 普段は1人でお出かけするんだけど、たまには2人や3人で行くのも楽しいよね。
 大勢で旅行に行くのも大好き。来月に友達みんなで温泉に行く予定だけど、凄く楽しみなの。

 やがて自分の家の前で立ち尽くしていたら、待ちに待った声が遠くから飛んできた。

「朱里ちゃーん、お待たせー!」
「あ、実夏ちゃん」

 ブラウンのショートヘアを靡かせて、実夏ちゃんが走ってやってくる。
 今日も深く碧い瞳が眩しい。そんな可愛くて元気のある実夏ちゃんが、何か見る度に羨ましいなって思う。
 お世辞にも、体型は良いとは言えないけどね。良く言えばスレンダー、悪く言えば貧相ってとこかな。

 やってきた実夏ちゃんははにかんで、ひとつ溜息をつく。

「うんうん、今日も天気がいいねー」
「くすっ、そうだね」

 今日は本当に天気がいい。私にとって、今日は理想的な春だ。
 風が気持ちよくて、お日様もポカポカしてて、なんだか目を閉じたら眠くなっちゃいそうな天気なの。
 気分も穏やかになれる。吹き抜ける風が私の長いブロンドヘアと、ワンピースの裾を揺らしていく。
 本当に情緒ある気候だなぁ。

「よっし、じゃー早速デパートまで行くぞー!」

 ————都会じゃなければ、の話だけどね。その天気は。