複雑・ファジー小説

Re: わかりあうための闘い(感謝しています) ( No.111 )
日時: 2014/08/29 09:18
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

※少々のBL描写を含みます。お読みの前にご注意ください。

川村sid

拙者たちがジャドウ殿の打倒を決意したとき、背後の席から声がした。

「待たれよ!」

驚いて振り向くと、座っていた黒い忍者服に顔半分を覆うカラスの仮面、筋肉質な大男が立ち上がった。

「そなたら、表に出てこの拙者と決闘したまえ」

「むぅ…お主は?」

「拙者は鴉忍(からすしのぶ)。鴉流暗殺拳12代目継承者。そなたらの命、頂戴!」

彼はいきなり腰の忍刀を引き抜いて斬りかかってきた。

拙者が斬心刀で受け止めている間に、ヨハネス殿と安瀬殿はお会計を済ませて出て行った。

「フッ…逃がさん!」

彼はなんと瞬間移動でその場から消え失せた。

外を見ると、ふたりの前に彼が立ちはだかっていたので、拙者は急いで店を出ると、謎の忍者の前に立ちはだかり、斬心刀を抜いた。

「お主は、この川村猫衛門がお相手するでござる!ヨハネス殿と川村殿はその隙に逃げるでござる!」

「でも…」

「早くいくでござる!」

「ありがとう、川村くん。死なないで」

ヨハネス殿は一筋の涙を流し、拙者の頬に接吻をした。

「…!」

真っ赤になった顔を見せないようにしながら、安瀬殿の手を引いていく彼。

「まさかお主—」

拙者が遠ざかる彼に問いかけようとした刹那、忍者が斬りかかってきた。

拙者は彼の刀を受け止める。

「おのれそなた、どけぇ!」

「拙者の命に代えても、ふたりの元にはいかせぬ!」

「ならばこの場で切り捨てるのみ!覚悟いたせ!」

「言われなくても承知!」

拙者と彼は間合いを取り、互いの刀を引き抜き、斬りかかる。

「華麗米斬り!」

「林米斬り!」

拙者らはお互い刀を打ち合い、互角の戦いを繰り広げる。

それにしてもこの剣裁き、この忍者、強いでござる。

「拙者にそなたの斬心刀は通用しない。嘘だと思うならためしてみるがよい」

彼はそう言って刀を鞘に納め、無防備になった。

「秘儀華麗米斬り!」

拙者は必殺技で彼の横を駆け抜けるが、彼は平然とし、刀を引き抜くと再び拙者に斬りかかってきた。

不意を突かれたため、彼の斬撃をまともに受けた拙者は膝をつく。

「なぜ…拙者の華麗米斬りが通用しないのでござるか…」

「それは拙者の心が完全なる悪であるからだ。そなたの斬心刀は悪人の心を斬ることができる。が、心の底から悪の者は斬ることができぬ!拙者の刀、善斬刀はそなたの刀と対をなす刀、善人を斬り殺すことができる刀なのである!死ぬがいい!」

くっ…拙者もここまでか…

そのとき、脳裏に先ほどのヨハネス殿の接吻が蘇ってきた。

彼は拙者にもしかすると友人以上の感情を抱いているかもしれぬ…

けれど、彼が拙者にとって大切な人であることは変わらぬことでござる。

『死なないで』

彼の言葉が蘇る。

彼との約束を果たすためにも、拙者は生きて、再び彼に合わなけれないけないのでござる。そのために、ここで死ぬわけにはいかぬでござる!

「拙者の正義の刀受けてみるでござる!秘儀超華麗米斬り!」

「そんなもの、拙者の刀で叩き斬ってくれる!」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」

拙者は斬心刀に己の正義と愛の全てを込め、全身全霊で必殺剣を叩き込んだ。

「バ…バカな…この善斬刀が折られるとは…ぐはああああああああああっ!」

彼の横を駆け抜け、チャキンと刀を鞘に納め、彼に向き直り口を開いた。

「お主の負けでござる」

「…退散!」

彼は折れた刀を回収すると、悔し涙を浮かべ退散した。

やったでござるヨハネス殿、安瀬殿!

拙者もお主らの元へいますぐ向かうでござる!

でも、その前に少し休ませてほしいでござる……

次回予告
ジャドウの本音が明かされる!?