複雑・ファジー小説

Re: わかりあうための闘い ( No.116 )
日時: 2014/08/30 12:25
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

ヨハネスsid

僕は安瀬さんに代わってリングにあがりました。

「フフフフ…ヨハネスよ、俺に不意打ちをかけるとはいい度胸ではないか」

「僕はあなたに、何が何でも勝たなくてはいけません」

「フフフフ…果たして万年落ちこぼれのお前が、この俺に勝つことができますかなあ?」

「僕はあなたと全力で闘うまでです!」

彼の得意な戦術は反則戦法とニードロップとベジュラム=バックブリーカー、それとジャドウ=ドライバー。

そして彼の命とも言える最大の武器は、その足。

つまり足さえ封じることができれば、彼の戦力は大幅に減少するはずです!

そう確信した僕は、彼の足を一点集中して攻撃を開始することにしました。

まず、ミドルキックで彼の足を攻め続けますが、彼は能力を使用し霧状になることで僕の攻撃を無効化します。

ですが、これは予想通りの展開ですので、すぐに対処することができます。

「ブランデンブルクの赤い噴水!」

霧状になった彼を僕は炎を纏ったナイフ状に変化した腕で切り裂きます。

「グッ…!」

斜めに斬られた彼は血を流し、能力を解除してしまいました。

先ほどの王李くんとの闘いで、無敵かと思われた能力に火に弱いという弱点が露わになったため、王李くんと似たようなタイプの僕の能力なら相性最悪だろうと見越して、彼と闘いたいという意思を固めました。

ですが、実は僕が彼とどうしても対戦したかった理由は、相性が最悪かつ王李くんの敵打ちという他にもあるのです。

まず、ひとつ目が、彼は僕の親友である川村くんの最大のライバルであるということ。

彼らふたりは西洋と東洋の剣術使いと言うことで、顔を合わせるたびに剣を交えるほどの好敵手なのです。

けれど、いつも結果はジャドウさんが勝利していました。

僕は先ほど僕たちのために時間稼ぎを引き受けてくれた、大好きな川村くんのためにも、親友として彼に勝利したいのです。

そして2つ目。これが最大の理由なのですが—彼が恋愛を全否定しているということ。

僕は(ジャンルを問わず)恋愛ものの小説や漫画や実際の恋愛が何よりも大好きですから、否定する彼にぜひとも人間の愛の素晴らしさを実感してもらいたいのです。

「フフフフ…俺に恋愛を説くなどと、愚かなことはやめたほうが身のためですぞ、ヨハネスよ。何しろ俺は恋愛と言う単語が大嫌いなのだから!」

彼は不敵な笑みを浮かべていた今までとは違い、無表情だった顔を凶悪な顔に変えて、今まで使用しなかった剣の刃の部分で僕を攻撃してきました。

彼が激昂する姿なんて今まで一度も見たことがなかったのですが、どうやら今回は違うようです。

「恋愛など下らぬ!男とは闘いに生きるもの。余計な感情など無意味だ。永遠の闘い、どこまでも強さを求め、自らを高める。それが男の理想と言うものなのだ!それなのに、人間は恋愛なんぞと言うものにうつつをぬかしおって!愛などいらん!下らん!時間の無駄だ!」

僕は、高速で剣裁きを食らわせる彼のサーベルに動きを合わせ対応していきます。

「どうしてあなたはそこまで恋愛を否定するのですか?恋愛の対象は異性であれ同性であれ、人を愛することは本当に素晴らしいものなんですよ」

「フン。そのせいで絶望を味わい、歪んだ人格になるものも多く存在する。俺はこの星でそんな奴らを何千万、いや何十億人と見てきた。振られるのが分かっているのなら、恋愛感情など抱かないほうがましなのではないかね?いや、そうだ。恋愛など俺のトランプ占いで結果は読める!」

「確かに、あなたの占いは命中率が相当に高いです。でも、最初から結果が分かっていたら恋愛は面白くないんです」

「黙れ、小賢しく女々しい小僧。恋愛など、闘いに比べたらその魅力で大きく劣るものだ!
俺は闘いこそ全て、闘いこそ恋人、闘いこそ生きる使命!俺はお前のその下らぬ思考が嫌いだ!女のような容姿も嫌いだ!お前のような男がスターレスリングジムに所属していたという事実があるだけでも、気に入らん!」

そして彼はサーベルを鞘に納め、息を吸い込み、今まで僕が感じたことがないほど凄まじい殺気を放ちます。

「俺は決心した!お前を王李以上の地獄を味あわせて、地獄へ葬りさってくれる!」

次回予告
葵の前に現れた意外な人物とは…