複雑・ファジー小説

Re: わかりあうための闘い ( No.122 )
日時: 2014/08/30 18:39
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

安瀬sid

ジャドウは尋常じゃないほどの殺気を放ち、俺たちを睨む。

「フフフフフフ…ヨハネスと安瀬よ。お前達は眠れる獅子を起こしてしまった…」

「かもしれません。でも、僕は本気のあなたを倒したいんです」

「やれるものならやってみるがいい」

すると、奴がいきなり8人に分身した。

「俺の分身攻撃を受けてみるがよい」

8人のジャドウが蹴りやパンチを繰り出す。

その光景はまさにリンチそのものだ。

ヨハネスは奴の攻撃を受け続けても、微笑みを崩さない。

なぜだ、これほど劣勢なのなら普通は命乞いをしたり泣いたりするはずなのに、どうしてあいつは笑っているんだ?

もしかして、とうとう頭でもおかしくなっちまったんじゃねぇのか?

そんな疑問を頭に浮かべたその刹那、ヨハネスが動いた。

分身のひとりの足を掴み、バランスを崩させ、敵が倒れた反動を利用して起き上がると、常人離れしたジャンプ力で、まるで曲芸のように8人のジャドウの頭を順に足蹴にする。

まるでウサギのジャンプを彷彿とさせるその技は、可愛らしくも恐ろしい技だった。

「スター流奥義のひとつ、ジャンピングラビットです」

華麗に着地をすると、俺の手にタッチをした。

「休憩は十分に取れましたか?今度は安瀬さんの番ですよ」

「ああ…サンキュー」

ヨハネスに礼を言い、リングに上がる。

先ほどの分身は消失しひとりになったジャドウが片膝をつき、苦悶の表情を浮かべていた。

「ようおっさん、さっきのヨハネスの攻撃は堪えたようだな?」

「フフフフフフ…トランプ手裏剣!」

奴は虚空からトランプを出現させると、それを次々に手裏剣のように俺へ向かって投げ飛ばす。よし、今こそ能力をフルに発動させてやる。

能力と俊敏さをフルに生かした俺は、奴の投げた52枚のカードを一度も当たらずに避けることができた。

「ほほう。この技も破るとは…では、これはどうかな?」

奴はマントを翻し、フッと消えた。所謂瞬間移動と言う奴だ。

だが、俺は今までの奴の戦闘方法を見て、癖は大体把握していた。

「後ろだ!」

裏拳を見舞うと、奴が苦痛の表情を浮かべながら現れた。

やはり、俺の読みは正しかった。

「ならば、俺の剣裁きを受けるがいい」

業を煮やした奴はついに自慢のサーベルを引き抜き斬りかかるが、能力を発動しているため簡単には当たらない。

それどころか、奴のサーベルを真剣白羽取りで受け止めてしまった。

「ほほう受け止められるとは、驚いた…だが、お前に俺の剣を折ることはできまい…!」

「そうかもな。けど、折る必要なんかねぇんだぜ!」

奴の手にハイキックを撃ちこみ、剣を落とさせる。

俺はすかさず剣を蹴落とした。

繰り出す攻撃が次々に破られるため、さすがの奴も冷や汗を浮かべる。

「フフフフフフ…フフフフフフ…さすがだ、安瀬、そしてヨハネスよ。だが、いかにお前達でもこの技の攻略法まではわかるまい!」

ジャドウは俺に突進すると、プレーンエアスピンで回転をかけながら上昇させ、跳躍で飛び上がると、俺の足の裏に膝をつけて体重をかけ落下し始めた。

リングからは20メートル以上も離れているため、技が炸裂し地面に叩き付けられては100%俺の命はない。

けれど一体どうやってこの技から脱出すればいいのかがわからない。

クソッ、このままお陀仏かよ!

諦めかけたそのとき、ヨハネスの声が響いた。

「安瀬さん、8×8=64です!」

なんじゃその意味不明なアドバイスは?

九九なんて小学生の時に習ったぜ……いや、待てよ。

8×8=64…8×…そうか!

俺はヨハネスのアドバイスの真意が読めた。

「ムッ…まさか…」

「ああ、そのまさかだぜ!この技はこうすれば破れるんだ!」

俺は体を軸にして奴と上下逆になった。

この技は実は上から見ても下から見ても同じ技に見える。

つまり上下を逆にすれば敵に技をかけることができる!

「食らえ、リバース=ジャドウドライバー!」

次回予告
試合の意外な結末とは…?