複雑・ファジー小説
- Re: わかりあうための闘い ( No.123 )
- 日時: 2014/08/31 16:18
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
ヨハネスsid
僕たちの勝利を告げるゴングが鳴り響いた後、ジャドウさんはゆっくりと立ち上がり、
「…俺は今まで何をしていたのだ?」
なんと、解けるはずのなかった彼のマインドコントロールが解けたのです。
あまりに嬉しかったため、僕は安瀬さんとハイタッチを交わします。
その後、僕たちは今までの事を交互に順を追って彼に話しました。
話を聞いた彼は何を思ったのか、ダメージを負った体で仁王立ちになり、
「そうか…俺は自ら愛弟子を殺めたのか…知らぬ事とはいえ、大勢の人間を殺めたことには変わりない。責任を取るとしよう」
彼は虚空からワイングラスに赤ワインのボトルを出現させ、ワインを並々と注ぐと、それを一気にゴクゴクと音を立てて飲み干し、
「人生最後の酒も、また美味なり」
そう言ってワイングラスとワインボトルを消したあと、今度は今までに見たことがないほど優しげな笑みを浮かべ、サーベルを鞘に納めると、安瀬さんに手渡しました。
「お前達は見事俺に勝利した。記念と言ってはなんだが、俺の形見を受け取りたまえ」
「ジャドウ…あんたまさか—」
「ジャドウさん!」
僕たちはこれから彼が何をしようとしているのかに気づき、呼び止めますが、彼は振りかえりません。
「フフフフフフ…ヨハネスよ。俺はやっとお前の言う愛という感情が少しだけわかった。遅すぎたようだが、礼を言う。ありがとう…」
ジャドウさんが、感謝の言葉を言った…
あの何をしても決して感謝しなかったジャドウさんが…!
彼は最後に不敵な笑で振り向くと、
「では、さらばだ。偉大なる戦士の諸君!」
彼はそれだけ言って空高く上昇すると、爆発して跡形もなく消えてしまいました。
爆発の後、空からヒラヒラと一枚のカードが降ってきました。
そのカードはハートのエース。
そしてカードには、こんなメッセージが書かれていたのです。
『恋愛は人間の常 結果を気にする事なかれ 心の底から思い人を愛すべし』
次回予告
謎の第3勢力現る!