複雑・ファジー小説
- Re: わかりあうための闘い【キャラ人気投票開始!】 ( No.135 )
- 日時: 2014/09/03 17:36
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
安瀬sid
俺とヨハネスはジャドウを倒した祝いとして、ソフトクリームを買って公園のベンチで食べていた。
お互い協力して勝利したということもあって、俺たちの仲は以前以上に深まっていた。
それにしてもヨハネスは、本当に綺麗な顔をしていると思う。
恐らく8割以上の人が初めて見たら美少女と思いこんでしまうはずだ。
でも、コイツにはよく見たら喉仏があるし、それが男である証拠なのだが、それにしても、コイツ、好きな人とかいるんだろうか。
こんなに可愛いんだから女の子にモテて…いや、逆に嫉妬の対象になる可能性も否定できないな…
俺は気になったので、ヨハネスに訊ねて見ることにした。
「お前、彼女とかいるのかよ?」
「いませんね。僕、女の子だとかなりの美形に入るんです。だから、モテるどころか逆に目の敵にされてしまって…」
その光景を想像し、心からコイツに同情した。
美形であることが、必ずしもモテる条件になるとは限らないと言うことを、俺は悟った。
「じゃあ、女の話友達ならいるか?」
「それなら、メープルさんとか、フォルテさんとか…結構いますね」
なんだ。女から敬遠されているわけではないのか。そう思うと安心した。
そういえばコイツ、暇そうにしているけど、学校とかちゃんと通ってるのか?
「卒業しましたよ」
卒業?
コイツは確か14歳で、いくらドイツと言えども中2で中学を卒業できるとは思えないが…
「僕は大学を卒業したんですよ」
大学!?
「僕—こう見えてもIQ215なんです」
彼は少し頬を赤くして告げる。
確かIQって普通の人は120ぐらいだったはず…
それから考えると215とか半端な数字じゃない。
俺たちとは住む世界が違う!
そういえば、コイツは初めて会ったときから訛りの一切ない日本語を流暢に話すなと思っていたが、その知能指数を聞いて納得した。
「これぐらい大したことありませんよ。スターレスリングジムのメンバーは、全員最低3か国語話すことができますから。会長さんは英語、フランス語、中国語、ドイツ語、日本語、ポーランド語、イタリア語の7か国語話すことができますから、僕なんてまだ序の口です」
すげぇな、スターレスリングジム。
「会長さんは、初めの頃なんて7か国語を同時通訳して話していましたよ。一応今は日本語に落ち着いて、一番弟子の多い日本語をスターレスリングジムの共通語にしようと言うことになったんですが、たまに母国語で会話することもありますね」
彼は平然と言ってのけるが、俺は彼らがどんな脳のつくりをしているのか見たくなった。
ちょっと自分に自信がなくなってきたので、話題を変える。
「それで…お前好きな人とかいるのかよ?」
彼女はいないことはわかったが、好きな人ぐらい、いてもおかしい話ではない。
「います…僕、川村くんの事が大好きなんです…」
俺は一瞬聞き間違いじゃないかと思ったので、念のため確認を入れる。
「川村って、もしかしてお前の大親友の川村猫衛門?」
「はい…」
よほど恥ずかしいのか、顔を真っ赤にして頷く彼。
その様子はもじもじした女の子みたいでとても可愛らしいものだった。
それにしても、ヨハネスがホモだったとは驚きだ。
彼はちょっと目を丸くする俺に構わず、夢見る女の子のようなうっとりとした表情で話し始める。
「川村くんは、優しくて強くてカッコよくて、ちょっと天然なところがあって…どんなことでも気軽に話せるところが大好きなんです」
そういえば、前に川村とは親友だとヨハネスの口から聞かされていたし、これはもしかすると…
「告白はしたのか?」
「いえ、まだ…」
さっき堂々と公衆の前でキスしていたのに、告白してないとか、順番がおかしいだろ。
彼の手順の踏み方に(本人には失礼かもしれないが)ちょっとだけ吹き出してしまった。
「それってつまり、片思いってわけか」
「彼を好きになってもう4年ですから、そろそろ告白してもいいかな…なんて思っているんですが」
4年…すげぇな、よくひとりの人を4年も愛せるもんだ。
ヨハネスの思いを聞いて、これは決して気まぐれなんかじゃなく、本当に川村に惚れているんだと感じた。
そして、川村の事を話す彼の笑顔は、今までのどの笑顔よりも輝いている。
もし、その告白が受け入れられず、4年間の思いが一瞬にして崩れてしまったら…
自分のことではないが、女に置き換えてそれを想像すると、耐えられない気持ちになる。
しかもヨハネスの場合は親友同士だ。
もしかすると今まで積み重ねてきた友情も、一瞬にして崩壊してしまう可能性もある。
川村も、俺が見る限り鈍感な男ではない。
恐らく奴は、先ほどのキスでその思いに気づいているとは思うが…
ヨハネスはそれを覚悟で告白すると言うのか…
だとしたら、コイツは相当に勇気のある男だ。
俺は今さながら、彼に対する認識を改めた。