複雑・ファジー小説

Re: わかりあうための闘い【キャラ人気投票終了間近!】 ( No.139 )
日時: 2014/09/07 07:03
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

不動sid

弟子のリバースキルが決まった。

この能力は敵から受けたダメージを体内で蓄積し、倍にして掌から送り返すと言う単純かつ強力な能力だ。

つまり、敵は攻撃を奴にすればするほど結果的に自分の首を絞めることになる。

「決まったな」

俺もフレンチも勝利を確信したその時、あの小娘がボロボロの体で立ち上がってきた。

「バカな…」

目の前の事態に軽く動揺を覚える。

今まで奴が対戦してきた相手は必ずと言っていいほどこの必勝パターンに陥り、自ら敗北するのが当たり前となっていた。

だが、あの小娘はあろうことか立ち上がってきた。

少しふらついてはいるものの、まだまだその瞳の輝きは微塵も薄れていない。

それはつまり、奴の闘志がまだ熱く燃えている証拠と言うわけだ。

「フレンチくん、今の能力、面白かったよ。えへへ♪」

彼女は微笑みを浮かべて俺の弟子を見る。

さすがの俺もほんの僅かと言えども動揺したので、当たり前と言えば当たり前なのだが、フレンチは額から汗を浮かべ、明らかに動揺していた。

奴は自分の計算外である予想外の出来事に対応するのが昔から苦手だった。

ここはひとつ、満身創痍なはずのハニーに対しどう対応してくるのか、

アドバイスを一切出さずに見てみるとするか。

「ハニーの能力その2、勝利のVビーム♪」

ハニーは右手でピースをすると、そこから虹色の光線をフレンチ目がけて発射した。

奴は咄嗟に両腕をクロスさせてガードの体勢に入るが、光線の威力に徐々に後退されていく。

「僕は…こんなところで負けるわけにはいかないんですよ!」

怒りを露わにしつつ、光線を弾き、キッと敵を睨みつけた。

「この技で確実に止めを刺してあげます!」

彼女を垂直落下式のデスパレーボムで捕らえ、リングに叩き付けるが、動揺もあり疲労もあったのか、威力が半減し、彼女はすぐに立ち上がってきた。

「これで最後だ、フレンチくんっ。ハニーの能力その3!」

奴は両腕を高々と上にあげる。すると上空に雨雲が出現した。

「サンダーレィイイィイン!!」

ハニーが両腕を勢いよく振り下ろすと、上空から大量の雷がフレンチに降り注がれた。

「きゃああああああああああああああああああああああああ」

耳をつんざくような甲高いアニメ声の断末魔と共に弟子は黒焦げになり、ダウン。

ハニーの勝利が決まった。


ハニーsid

やった。フレンチくんに勝ったっ!

兄さんとハイタッチを交わした直後、まるで幽霊のようにゆらりとフレンチくんが立ち上がってきた。

口から少し血を流して、服はボロボロになっているけど、なぜか元気そうに見えるから不思議だ。

「負けてしまいましたね…あとは不動さんに任せて、僕はこの場を去ることしましょうか」

そう言って不動さんが制止するのも聞かず、彼はヒラリとロープを飛び越え、そのまま風のように失踪してどこかに行ってしまった。

一体どこに行ったんだろう?

わたしは兄さんとタッチしてコーナーポストで休むことになったけど、しばらく彼がどこに行ったのか気がかりで仕方がなかった。