複雑・ファジー小説

Re: わかりあうための闘い【キャラ人気投票期間延期!】 ( No.142 )
日時: 2014/09/07 19:32
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

フレンチsid

「ふう…」

僕はリングから逃走した後、近くの公園で休憩を取っていました。

さすがにいくらこの僕が強いと言っても3試合連続で相手をしたら疲れるのも無理はありません。

公園の中にある自動販売機でリンゴジュースを買ってベンチに座り、ゴクゴクと飲み干します。

頭と体を使った後の甘い飲み物はやっぱり最高です。しばらくした後、僕の座っているベンチに向かってよく知っている人物が歩み寄ってきました。金髪碧眼に豪華な茶色のスーツ姿のスター会長です。

彼は僕に目と鼻の先まで歩み寄り、

「フレンチくん、本当にお久しぶり」

「…ええ、そうですね」

彼は僕に右腕を伸ばして口を開きます。

「悪いことは言わない。アレを返してくれないかな?」

「……」

「きみには、本当にすまないことをしたと思っているよ。あれから私は考えをあらためたんだ。またふたりでやり直そうじゃないか。楽しかったあの頃のように—」

「…僕を捨てた癖に、よくそんなセリフが言えますね」

彼の顔を見るたびに、あの時の悲しみと怒りが蘇ってきます。

「僕は地球人で一番最初に弟子入りして、あなたを心から慕っていたのに…あなたは僕を捨てた!!あんたは僕よりも、ヨハネスやラグの方がずっとずっとお気に入りだった。
あいつらが来てから、あんたは僕を気にすることもなくなり、まるで空気のように無視し続け、挙句の果てに僕を捨てた!」

吐き捨てるように言って彼を睨みます。

「僕は、父さんも母さんも小さいころに亡くなって孤児だったから、家もお金も家族も誰もいなかった。僕を孤児院から引き取ってくれたあなただけが唯一の家族だったのに……旅行先のドイツでヨハネスを引き取った後、あなたは僕の故郷のオーストリアに捨てて出て行った。何も言わずに…あの日、僕の心がどれだけ傷ついたか、あなたにはそれがわからないでしょうね…!」

自分の声が、知らず知らずのうちに涙声になり、溢れ出る涙が頬を伝い地面に落ちていくのがなるのがわかります。

「捨てられた後、必死であなたの手がかりを探して、やっとスターレスリングジムの日本支部に辿りついた僕が見た光景…それは新しいお気に入りを可愛がっているあなたの姿だった!」

僕は怒りを掌に貯めて、彼の頬を殴りかかりますが、彼はそれを避けてしまいました。

「あの時の怒り、悲しみ、怨み…今こそ僕はあなたに全てをぶつける!勝負です、スター会長!」

僕は地面からあらかじめ用意してあった特設リングを出現させて、中央に降り立ちますと

彼も後を追うようにリングインします。

「僕はあなたから学んだスター流奥義の究極奥義であるダンス拳法…その真の威力を発揮できる方法を見つけました」

懐からマイクを取り出し、口の方へ持っていきます。

「まさか…やめろ、フレンチくん!」

「スター流最強奥義、ミュージックオンステージ!」