複雑・ファジー小説
- Re: わかりあうための闘い【キャラ人気投票期間延期!】 ( No.147 )
- 日時: 2014/09/08 15:18
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
葵sid
わたしは、自分の目の前の席で腰かけてパスタを睨んでいる人物を穴が開くほど見つめます。
オレンジ色の外ハネした柔らかそうな髪、透き通るように白い肌の長身の美男子の彼は、細い手でフォークを掴み、クルクルとパスタを包んで頬張ります。
そして水を一口飲んだ後、わたしの顔を疑わしそうな目で見つめます。
その赤褐色の瞳はまるで秋の真っ赤な落ち葉で染まった地面を思わせ、美しさと儚さを感じるのは気のせいでしょうか。
ですが、彼があまりにも黙っているため、いてもたってもいられなくなり、口を開きました。
「あの、柊紅葉さん、ですよね?わたし、日向葵って言います。スターさんの使いであなたに伝言を頼みにきました」
わたしは彼にスターさん直筆の手紙を彼に渡しました。
彼は手紙とわたしを交互に眺めています。
そこで、わたしの口からもお願いをしてみることにしました。
「お願いです!わたしたちに協力してくださいませんか?敵が強くて、このままじゃみんな倒されてしまうかもしれないんです」
「言いたいことはそれだけ?」
突然彼が少しハスキーな声で言いました。
いきなりこんなことを訊かれたため、戸惑って何も答えられずにいると、彼は無言でパスタを完食し、席を立ってお会計を済ませてお店を出て行きました。
わたしは慌てて彼の後を追いかけ、背中に語りかけます。
「待って下さい!せめて返事を聞かせてくださいませんか?」
しかし彼は無言で歩き続けます。
仕方がないので隣に並んで歩いていますと、わたしたちの目の前に目元をカラスのような仮面で覆い、忍者服を着た筋肉隆々の男の人が現れました。
「拙者は鴉忍。完璧美食家会員番号9番。そなたらの命いただこう」
すると紅葉さんが微笑みを浮かべて、
「来なよ」
「言われなくても。だが、拙者は野試合はあまり好まない主義でな、今リングを出してやる」
彼が服の懐からスイッチを取り出して押すと、上空からプロレスのリングが降ってきました。
鴉忍さんはバック転で華麗にリングインすると腕を組んでわたしたちを見ます。
「どうした、怖じ気づいたか?そなたら2人まとめて相手にしてやってもよいぞ」
「俺が行く」
彼はわたしを手で制すと、フワッとまるで羽が生えているかのような身軽さでロープをまたぎ、リングに入りました。
「クロロロロ〜、娘は試合観戦という訳だな。こやつを始末した後、そなたもすぐにあの世へ送ってやるから、心配するでないぞ。では、試合開始と行こうではないか」
すると彼はどこにしまってあるのか、懐からゴングを取り出し、カーンと鳴らしました。
「そなた、名は何という?」
「柊紅葉」
「では紅葉とやら、そなたはこの拙者に勝てると見込んでこのリングへ上がったのか?もしそう思っているのであれば、拙者の実力をとくとご覧にいれようぞ!」
彼はいきなり3メートルぐらいの高さまで飛び上がり、打点の早いドロップキックを放ちます。
ですが、紅葉さんも同じ高さに飛び上がると彼の背後に延髄斬りを叩き込んだのです。
しかし敵は一瞬よろめいたかと思った次の瞬間、くるりと一回転して彼の額に蹴りを炸裂させたのです。
それを彼はサッと避けて真空飛び膝蹴りを見舞うと、クルクルと宙を舞い、スタッと華麗に着地しました。
「そなたの得意は足か…」
「そう」
彼は薄ら笑いを浮かべた後わたしを見つめて、
「さっきの伝言の返事だけど、答えはイエス」