複雑・ファジー小説

Re: わかりあうための闘い【夢の対戦カード決定!】 ( No.165 )
日時: 2014/09/12 08:01
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

ルナティクスsid

僕はこの日の晩、スター会長に呼び出された。

彼のいる会長室へ入ると、僕だけでなく他の出場者も呼び出されていることがわかった。

それにしても、僕たちを呼び寄せておいて一体何の用だろうか?

疑問に思っていると、会長が口を開いた。

「実はきみたちには明日、完璧美食家のメンバーと闘ってもらうことになったのだよ!」

会長の説明によると、僕たちが闘うことになったのは、あのHNΩも所属していると言う大半が元スターレスリングジムのメンバーという強豪集団。

つまりそれは運営委員と同等とそれ以上の実力者と闘えと言うこと。

できるだろうか、僕に…頭の中を不安が掠めるが、会長は僕の肩に手をあて優しい声で言った。

「大丈夫だよ。仮にもきみは私に見込まれた子だ。普通の子と訳が違う!ルナティクスくん、きみならきっと敵に勝てる。私はそう信じているのだよ」

彼の言葉で不安でいっぱいになっていた心の奥に温かい光がともったのを感じた。

そうだ、僕は世界の帝王になるべき男。

そんな奴ら、叩き潰して帝王の威厳を見せつけてやる!

「それでは、各々の対戦相手をDVDで紹介するとしよう」

彼はノリノリで超特大テレビのスイッチを入れた。



「では、まずは葵ちゃんの対戦相手から」

彼がスイッチを押すと、茶色の瞳に茶色の髪、黒のベストに半ズボンと言う少しボーイッシュな感じの服装に身を包んだ美少女が少年と闘っている映像が映し出された。

「彼女はフォルテ=フォン=ロイヤル。ルクセンブルク出身のお嬢様で、私から直接指導を受けた子のひとり。プロレスの実力はメープルちゃんとほぼ同等だけど、彼女は能力がすごい!ルーレットを出現させて、敵がダーツで射たマスの出来事を本当に変えてしまう能力の持ち主なのだよ」

それは所謂運命操作と言うものだろう。強力な能力であることは間違いない。

次に登場したのは僕の対戦相手だと言う、カールした金髪に翡翠色の瞳に青色のチョッキを身にまとった長身の美形の少年だ。

「彼はピエール=ジェントルマン。ナルシストでキザで女の子にとにかくモテる。フランス出身でプロレスの腕は井吹くんと同等」

なんだ、大したことないじゃないか、僕の楽勝で決まりだね。

僕は心の中でピエールを打ち負かしている図を描いた。

「けど、彼は手品が非常に上手く、その腕前はジャドウくん以上。しかも光を操る能力の持ち主と来ている。あだ名は光の貴公子」

その瞬間、僕の心の中に描いた図は逆転してしまった。

光と闇じゃ、相性が悪すぎる!

そう思っている間にも会長はどんどん敵を紹介していく。

7番目の敵の紹介になった時、会長の手がピタリと止まった。

そしてなぜか画面を見つめたまま沈黙してしまった。

ヨハネスくんも空さん、マロンくんや力也くんたちも、会長の意図を察してか黙りこくっている。

どうしたんだ、この静けさは……

画面には笑顔を浮かべ、フレンチをそのまま小さくしたような外見の茶色いコートに大きな金色のベルのついたスカーフを着た少年が映っていた。

もしかして、この7番目の対戦相手が原因なのか?

「おいどうしたんだよ、会長さん、それにお前ら。急に黙るなよ」

「……すまないね」

安瀬くんの問いに先ほどとは違う弱弱しい小さな声で会長が答えた。

会長は大きなため息をついて、再び口を開いた。

「彼の名はディナー。我々スターレスリングジムのメンバーの中でも、最強の能力を持つ少年…彼が能力を発動したら、カイザーくんや私でも恐らく瞬殺されるだろう。彼が味方だったら、我々の勝利は100%揺るがなかったよ」

な…ひゃ、100%だって!?

それに、カイザーさんや会長さんを凌ぐ能力って…一体どんな能力の持ち主なんだ……

僕は未知なる敵の謎の能力に底知れぬ戦慄を覚えた。