複雑・ファジー小説

Re: わかりあうための闘い【夢の対戦カード決定!】 ( No.166 )
日時: 2014/09/11 20:01
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

安瀬sid

「一体そいつはどんな能力持ってんだよ」

俺は隣に立っている相棒のヨハネスに訊ねた。

「…消化吸収。彼はブラックホール並の吸引力で何でも吸い込んで、強靱な胃袋でたちまち敵を消化してしまうんです。しかも、それが能力者だった場合は一時的ではありますが、消化した相手の能力を使用することができます」

なるほど、そいつぁ厄介だな。

「何か能力を破る方法とかないのかよ」

「あります。彼は宇宙人やアンドロイドは消化できずに吐き出してしまうんです」

だったら、ラグが闘えば楽勝じゃないか。

「ところが、そうもいかないんです。今ラグくんはフレンチくんに機能停止にさせられて修理中ですから」

そういえばそうだったな。ってことはベリーは大ピンチじゃないか!

けれどヨハネスは冷静に、

「そうですね」

「そうですね、じゃねぇだろ!」

俺は彼の頭をペシッと叩く。

「痛ッ!もう、何するんですか!」

頬をぷうっと膨らませたヨハネスの顔は、もう一度叩きたくなりそうなほど可愛らしいものだった。

「でも、当の本人は余裕の表情ですよ」

彼が指さした先には、表情ひとつ変えないベリーの姿があった。

彼女は俺たちに気づくと、少し微笑み、「心配ない。勝つから」と言った。

どうやら何か策があるらしい。

と、ここで会長が勢いよく立ちあがり、いつもの調子に戻っていった。

「諸君!ここで、超強力助っ人をご紹介しよう!入って来てください!」

会長が丁寧な言葉遣いを使うなんて珍しいなと思っていると、会長室の扉が開いて、青色のモーニング、ホットケーキ形の帽子に碧眼、立派なひげを生やしたじいさんと、オレンジ色のバンダナにモデルのように整った顔の美少年と茶色の縦ロールが特徴の滅茶苦茶可愛い美少女が入ってきた。

なんだこいつら…

じいさんは会長と握手をした後、俺たちを見つめた。

その瞳はまるで全てを見通しているかのような神秘的な雰囲気が漂っている。

「ホッホッホ。お前さんもいい弟子たちを持ったもんじゃのう、スターくん」

「でしょう。やっぱりわかりますか?」

「子どもたちの素質が見ぬけないほど、わしは衰えておらんのでのう」

じいさんは一通り笑った後、軽くお辞儀をして、誰もが耳を疑うような言葉を口にした。

「自己紹介が遅れてしまったようじゃな。わしはヘンリー=ミルク。このスターくんはわしの教え子じゃよ」

教え子!?

そしてさらに会長の口から爆弾発言が飛び出した。

「何を隠そうここにおられるヘンリー先生は、スターレスリングジムの開祖にして超人キャンディーの生みの親なのだ!」