複雑・ファジー小説
- Re: わかりあうための闘い【夢の対戦カード決定!】 ( No.172 )
- 日時: 2014/09/12 21:29
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
ヨハネスsid
僕が降りた第9ステップには『白兎』の異名を持つ、白いつめえり服に青色のスカーフ、白のキュロット姿と幼い顔立ちが特徴の色白の男の子軽井沢隼人くんが今にも泣き出しそうな瞳で立っていました。
「はぅ…あのぉ…あなたが僕の対戦相手でしょうか…?」
彼は僕の姿を見ただけで怯えだし、体を震わせ涙目になりながら、コーナーポストを抱きしめています。
そんなに嫌なら闘わなければいいのに…と内心ツッコミを入れながらリングインします。
「ひえぇ…お、お手柔らかにお願いしますぅ」
彼はペコペコと何度も丁寧に頭を下げます。
どうして、こんなにおとなしそうで礼儀正しそうな彼が完璧美食家に所属しているのでしょうか。
考えてみますが、どうしても理由がわかりません。
そういえば、昨日敵の紹介のDVDは7人目までしか観ていないことに気が付きました。
もう少し観させてくれたら、彼の事をもっと知ることができたのに…
いや、もしかすると、スターさんは何か考えがあって、わざとあのDVDを見せないようにしたのかもしれません。
そう考えますと9番目のメンバーである彼のミステリアスな出自と能力、そしてプロレスの実力が気になります。
今のところ彼についてわかっていることがあるとすれば、名前と出身が日本ということだけなのです。
「じゃあ、僕から攻撃しますね」
「は…はい…ご遠慮なくお願いしますぅ」
ですが、言葉とは裏腹に、彼は涙目になって足はまるで生まれたての小鹿のように小刻みに震えています。
僕は敵ながらも彼に同情を感じましたので、軽く殴って気絶させて勝ち星を取ることにしました。
僕が彼の顔を殴ると、彼は今まで僕が対戦したどの相手よりも盛大に吹き飛んだ挙句、ゴロゴロとマットの上を転がって場外に落下してしまいました。
すかさずカウントがとられます。
『ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ…』
彼はカウント7でようやくリングに上がってきました。
ですが、その右頬は僕に殴られたため赤く腫れ上がり、可哀想な有様になっていました。
彼は僕を見つめ、一筋の涙を流した後、口を開きます。
「えと、ヨハネスさんでしたよね?今のパンチとっても強かったです。じゃあ、今度は僕から攻撃しますね……」