複雑・ファジー小説
- Re: わかりあうための闘い【夢の対戦カード決定!】 ( No.174 )
- 日時: 2014/09/13 08:03
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
ヨハネスsid
「ぐああああっ!」
僕は彼の繰り出す華麗な空中殺法に圧倒されていました。
彼は僕に攻撃する宣言をした後、まるで羽でも生えているかのようにふわりと浮きあがったかと思うと、流星のように飛んできて、華麗なるドロップキックをお見舞いしたのです。
まぐれだろうと思っていますと、2発目、3発目と立て続けにキックを食らい、僕はダウンしてしまいました。
すぐに立ち上がりますが、彼は今度はカンガルーキックで僕を後退させ、間髪入れずにムーンサルトプレスを敢行。
そのまま直行でフライングベットパットで背骨を傷めつけたかと思ったら、今度はフライングヘッドシザーズで押し倒し、そこからジャドウさんのお株を奪う超高角度のエルボードロップを何発も食らわせます。
僕は何発目かで彼の膝を掴み、放り投げますが、空中でくるりと一回転し、綺麗に着地しました。
まさか、これほどの空中殺法使いが完璧美食家に存在するなんて…
あまりに彼の繰り出す技が美しいのとギャップの激しさに僕はただ圧倒されるばかりです。
けれど、僕もこのまま何もしないというわけにはいきませんので、彼にタックルを放ち、吹き飛ばしロープの反動で返ってきたところをハイキックで迎え撃とうとした瞬間、彼はサッと僕のキックを避け、両肩に飛び乗ると、そこから強烈なエルボースタンプの連打を放ち始めたのです!
この技は両肩を固められているので外すことができず、ただただ相手の攻撃を受け続けるだけという恐怖の技なのです。
彼は一通り僕をエルボースタンプで痛めつけ、止めとばかりにメキシカンローリングクラッチホールドでフォールを奪いにいきます。
「そうはいきませんよ!」
これを外した僕は彼にこれ以上空中殺法を使わせまいと、超至近距離からの得意の空手チョップの連打を撃ちこみます。
ですが、彼は回避が非常に巧みで一撃も当てることができません。
さらに先ほど盛大に吹き飛ばされたパンチを放つも顔をパンチに連動させて動かせるボクシングの高等技術スリッピングアウェーで楽々と無効化されてしまいます。
敵は僕の鼻に僕が修得できなかったサマーソルトキックを簡単に放ち、流血させます。
鼻血がポタポタと流れ落ちマットを真っ赤に染め上げます。
「はぅ…こ、怖いですぅ!」
彼は一飛びでコーナーポストまで飛び上がると僕をブランチャーで押し倒し、続けざまにフライングボディプレスを見舞って、フォールを取ろうと体固めをかけます。
しかし、僕はなんとかカウント2できり返し、間合いと取って、今度はひたすら逃げ回る作戦に切り替えました。
リング内を走り続けることで相手の目を回し、混乱させてその隙を突いて攻撃する作戦なのですが、彼は走るどころか、ただのジャンプで僕に追いつき目の前に立ちはだかると、仁王立ちになりました。
「ヨハネスさん、あのぅ…僕がこんな事を言うのは失礼かもしれないんですけどぉ、そのぉ…このままおとなしく僕に負けてくださいませんか?そうでなきゃ、僕…」
彼は伏し目がちになり、その顔に少し影を落とし、首のスカーフに手をかけ、脱ごうとしたそのときです。
「やめるんだ、軽井沢くん!」
上の階からスターさんの大声が響いてきました。
「で…でもぉ、僕…もうあなたの弟子じゃないんですぅ…」
「それだけはダメだ!きみは物わかりのいい、優しい子なはずだ。私の言うことを聞くんだ!」
何やらスターさんは相当に動揺しているようです。
いつもとは違う厳しい声で彼をとがめます。
ですが、彼はためらいながらもスカーフを外していきます。
「ダメだ…軽井沢くん。私の言うことを聞いてくれ…」
「ご、ごめんなさい……僕、もうスターレスリングジムメンバーじゃないから、あなたの言うこと聞けません…!」
彼はついに青色のスカーフを首から外しました。外されたスカーフはポトリと地面に落ちます。
「ひっく…ごめんなさい…お師匠さん、僕…言いつけを守れない悪い子ですよね…」
彼は赤い瞳から大粒の涙を流して泣き始めました。
すると次第にその涙は引いていき、赤い瞳がだんだんドス黒い色に変色してきたのです。
更に白の髪は黒く変色していき、驚いたことに服までも白のカラーリングが黒一色に染まっていきます。
そして彼は先ほどのボーイソプラノとは真逆の低い低音の口を開きました。
「ブラックモード変身完了!」