複雑・ファジー小説

Re: わかりあうための闘い【夢の対戦カード決定!】 ( No.175 )
日時: 2014/09/13 12:24
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

安瀬sid

俺は下の第8ステップリングで相棒であるヨハネスの試合を観戦していた。

俺の対戦相手であるクレープ=シュクレは彼の対戦が終わるまで停戦にしておこうと提案したので、俺はその案に乗って奴の試合を観戦することにしたが、ヨハネスは酷く押され気味だ。

敵は怯えている割には彼の攻撃をいさっさい寄せ付けず、華麗な空中殺法で圧倒している。

彼は倒れても倒れても、ダルマのように立ち上がっては敵に向かって行くものの、まるで話にならない。

既に彼はボロボロで見ているこちらが辛くなってきた。

すると突然敵に妙な変化が起きた。

先ほどまで白一色と言っても過言ではないほど純白の衣装に身を包んでいた敵が黒い服装に変化したのだ。

いや、服装だけではなく、髪や瞳の色も黒くなり、その姿はまさしく悪魔のそれを思わせるものだった。

「ニャハニャハ。はじまりましたねぇ」

試合を同じく観戦していたクレープが口を開いた。

「てめぇ、何か知ってやがるのか?」

「当然ですよ、安瀬さん。『白兎』の異名を持つ軽井沢隼人。彼は極端な二重人格なのです。表の顔は繊細かつ気弱な天使のような心を持ち、華麗なる空中殺法で敵を翻弄するクリーンファイター。裏の顔は対戦相手を地獄絵図へと変えてしまう、恐怖の反則魔。善と悪、白と黒、ふたつの顔を合わせもつ男なのですよ。そして彼の裏の人格を解放させるカギこそが、あのスカーフなのです。ニャハニャハ」

な…なんて野郎だ…!

9ステップリングの軽井沢は禍々しいオーラを発すると、両手にメリケンサックを装備して、ヨハネスに突進してきた。

「ここからは俺の残酷ショーの開始だ!気の弱い観客どもは家へ帰るがいいーっ!」

低音ボイスで忠告したかと思うと、いきなりヨハネスにメリケンサックパンチを放ってきた。

彼はそれを受け止めようとするが、凶器付きの拳に逆に手が血だらけになってしまった。

「ぐわ…っ!」

「さあもっと血を流すがいい。俺はまだお前の血を浴びたりねぇ!」

彼は凶器を含んだ頭突きで彼の額を流血させ、それだけでは飽き足らず、ロープを使った目つぶしをお見舞いする。

そして更にアイアンクローで顔面を締め上げ始めた。

「お前の美しいその顔をザクロのようにグシャグシャに砕いて殺るぜ」

「…僕にアイアンクローをかけるなんて、致命的なミスをしたものですね、ブラック軽井沢くん。僕がアイアンクローを、スターレスリングジムで最も得意とすることを知らないんですか」

なんとヨハネスは敵に逆にアイアンクローをかけ、そのままの体勢でプロペラのように彼を片手だけで振り回し飛行すると、敵を砕けよとばかりにマットへ放り投げた。

す、すげぇ…

「目には目、歯には歯…これだけは使いたくなかったですが、反則には僕も更に敵の反則の上を行く超反則技で挑むしかありません!」

彼はそう言うと、驚いたことに両手で『ブランデンブルクの赤い噴水』を発動した。

「行きますよ。二刀流『ブランデンブルクの赤い噴水』!」