複雑・ファジー小説

Re: わかりあうための闘い【夢の対戦カード決定!】 ( No.179 )
日時: 2014/09/14 17:18
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

安瀬sid

「ニャハニャハ。これはどうやらわたしも本気で闘うしかないようですねぇ」

奴は不敵な笑みを浮かべながら口から流れる血を拭う。

今の発言からすると、今までの攻防は本気でなかったと言うことになるが、果たして奴の本気はどれほどの強さなのだろうか?

「お見せしてあげますよ〜。これがわたしの真の姿です。ニャハニャハ〜ッ!」

ブバンッ!と破裂する音と共に奴の覆面と服が弾け飛び、中から現れたのは、キョンシーのように白塗りにした顔に白の帽子、金色の装束に身を包んだ奴の姿だった。

「これが私の真の姿…カイザーの義弟、トミー=ブレッドです!」

カイザーさんの義弟だと!?

「その通り。まあ、それを知っただけであなたには死あるのみですがね」

すると奴は高速で接近し、抜き手を見舞う。

「ガハッ…!」

まるでナイフの如き鋭さを帯びたそれは、俺の腹に激痛を味あわせる。

拳で奴を殴ろうとすると、トミーは虚空から黒いカードを出現させ、拳の威力を吸収し、逆に俺にダメージとして跳ね返してしまった。

「私の能力であるブラックカードは効くでしょう」

「そんなもの…ぜんっぜん効果ねぇんだよ!」

すると奴は煙のようにフッと消えたかと思うと、俺の腰を背後から抱き上げジャーマンで放り投げた。

先ほどとは段違いの威力に、少なからず奴の強さに戦慄を覚えた。

彼は後ろで腕を組み、余裕の表情で俺を見て口を開く。

「カイザーの義弟である私がなぜ完璧美食家にいるのか。知りたいですよね?知りたいですよねぇ?わかりました。それでは教えて差し上げましょう」

奴はひとりで言ってひとりで納得し話を続ける。うぜぇ…

「私は会長さんとあまりに思考が会長さんと似すぎていたため、破門されたのです。彼はただ私がショタコンだと言うだけで、一方的に敵視し追い出した。彼が欲しかったのは、私ではなく、義弟ハニーと義兄であるカイザーだけだった…それをとある人物を通して知ったときはショックを受けましたよ。まさかこの№1の実力であるこの私が兄や弟に劣っているとは!そのとき私は誓ったのです。彼らに復讐してやるとね」

「…けど、あんた今思いっきりスルーされてるな。正体バラしても、アニキにも弟にも会長さんにもよぉ…」

「お黙りなさい!」

彼は俺の正論に激高し、裏拳を放つ。しかし、今の俺には当たらない。

度重なる攻防で奴の動きは完全に見切った。それが俺の能力だ。

奴は掌底を次々繰り出すが、俺はそれを全てガードし受け切ると、今度は奴に同じように裏拳を浴びせ後退させ太腿を狙ったローキックの連打をヒットさせ、奴の足を使えなくさせる。

次第に奴の足は赤く腫れ上がってきて、立つ姿勢が安定しなくなってきた。

「な…何が起こったと言うのです!?わ…私の足が動かない…」

「そらよっ!」

奴の顎にアッパーを食らわせ大きくのけ反らす。

間髪入れずにヨハネスの得意技だった空手チョップの連打でダメージを蓄積させ、フラフラになったところにカウンターのパンチを放つ。

「私がブラックカードを使えることをお忘れですか?」

「忘れちゃいねぇぜ…だがな、その手はもう効かねぇんだ!」

奴のカードを弾き、拳を顔面にめり込ませる。

「てめぇが追い出されたのは、てめぇに原因があるってことを悟りやがれ変態野郎—っ!」

「ニャグヘ〜ッ!」

口から大量の血を噴出し、奴は虚ろな瞳で俺を見る。

その隙をついて俺は奴を放り投げ、ジャドウの得意技であるジャドウ=ドライバーの体勢に奴を捉えた。

「これが相棒を倒された俺の怒りだ!ジャドウ=ドライバー!」

初めてかける技だが完璧に炸裂し、奴は血を吐いてリングに轟沈した。

連合軍の2勝目を上げることができた俺はほっと安堵し、すぐさまエレベーターでリングを降りると、相棒に会うべく医院に向かって走り出した。