複雑・ファジー小説
- Re: わかりあうための闘い【感想大歓迎!】 ( No.185 )
- 日時: 2014/09/15 20:04
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
クロワッサンsid
ひしもちの形をしたリングの14階に、僕が対戦するべき相手が存在していました。
金髪碧眼のいかにも北欧系の顔立ちながら、名前は日本人というちょっと不思議な美少年—大形愛。
元スターレスリングジムのメンバーのひとりで、弓を扱わせたら誰も敵うものはいないと言われていますが、その実力は果たしてどれほどのものなのでしょうか。
僕は自分の降りるべき階で、ヘンリーさんたちにぺこりとお辞儀をして、エレベーターから降りました。
「ククククッ、きみが僕の対戦相手?女の子が相手なんて白けちゃうなあ」
彼は僕をいかにも弱虫と言わんばかりの表情で舐めきっています。
「か弱い女の子がこんなとこに現れなくてもいいのに」
彼はロープに持たれ、気持ちの悪い笑い声を出します。
そしてコバルトブルーの瞳をらんらんと輝かせ、僕にとんでもない一言を放ちました。
「ねぇクロワッサンちゃん。もし僕が勝ったら、きみと付き合ってもいいだろう?」
僕はもちろん首をブンブンと横に振りますが、彼はその顔をぐいぐいと近づけて、いまにもキスをしそうな顔で僕に付き合って欲しいというお願い(この場合は脅迫に近いと言ったほうがいいかもしれません)をしてきます。
僕は彼が嫌になって突き飛ばします。
彼はかなりのけ反りましたが、嫌になるどころか、ますます瞳を輝かせて、
「きみのその黒い瞳、ますます僕のものにしたくなったよ、可愛い仔猫ちゃん」
その刹那、カーン!と試合開始を告げるゴングが鳴りました。
素早く彼の背後に回り、彼の背中にある筋肉をパン生地を伸ばす要領で引き伸ばしてそのままジャーマンスープレックスで放り投げます。
彼は苦悶の表情を浮かべ、よほど痛かったのでしょうか、マットを何回もゴロゴロと転がり回り痛みを和らげようとします。
それから30秒ほど経過して、やっと彼が起き上がってきました。
額には心なしか冷や汗が浮かんでいるように見えるのは気のせいでしょうか。
「なかなかやるね。強い女の子は大好きだよ」
彼はまたしても僕を口説きにかかるので、今度はクルリと回転し、彼の顔面につま先蹴りを浴びせつつ、背後から膝カックンで体勢を崩させ、足を掴んでそのままジャイアントスィングでグルグルと回しはじめます。
そして回転のスピードを3倍に上昇させ遠心力で彼を上昇させて、飛び上がり彼の顎に両膝をセットし彼の足を掴んで開脚させ、そのまま思い切りマットへ串刺しにしました。
これは、星野くんが得意とする必殺技のひとつであるヘブン=ザ=ギロチンを僕が独自に改良を加えたヘブンザギロチン+αです。
今の一撃で彼の顎はグシャグシャに砕け、恐らく階下で闘っている廉道さんでなければ治すことは不可能でしょう。
しかし彼は見るも無残な顔になりながらも、僕と戦闘をしようと立ち上がってきます。
ですが、僕からしてみれば、彼に闘える力が残っていないのは明らかでしたので、せめてもの情けとして、背後から彼の首筋に手刀を超高速で4発食らわせ、失神させてあげました。
試合終了のゴングが鳴り響き、実況の人が告げた試合時間はわずか3分。
気が付いてみたら僕は完璧美食家と連合軍の試合が始まってからの最速タイムで敵を倒していました。