複雑・ファジー小説
- Re: わかりあうための闘い【感想大歓迎!】 ( No.186 )
- 日時: 2014/09/16 07:21
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
星野sid
桁違い。規格外。
そう呼ぶにふさわしい敵が僕たちに向かって、ゆっくりと1歩1歩近づいてきます。
2メートル27センチという驚異の長身と、僕たちとは比べ物にならないほど人生経験を重ねている大ベテランの相手…彼の名前は怒雷氷。
あの負けず嫌いで喧嘩っ早い井吹くんを唯一心の底から恐怖させた相手だけあって、彼の放つ威圧感は凄まじいものがあり、彼の骸骨のように痩せて無表情な顔を見ていると、まるで心臓を握り潰されそうな感覚に陥ります。
「君たちと闘うのは、初めてだったな」
口から冷たい名前の通りのドライアイスを吐き出しながら、まるで奈落の底から聞こえてくるような、深く低く渋く響く声は他の階下の完璧美食家メンバーとは一線を画しており、彼がいかに強豪であるかがわかります。
身にまとった黒いローブに、茨のついたリストバンドがより一層彼の恐怖を引き立て、そして何より夜空の星のように眩しいほどに輝く瞳には、怪しい魔力のようなものがあり、彼の瞳を見ていますと、まるで吸い寄せられるような気がするのです。
「階下で敗れたピエールにクレープ、ディナー、大形は捨石だ。彼らの代わりの能力者など、いくらでも存在している。敗れた時点で彼らは解雇、つまり…クビなのだよ」
彼の冷酷冷徹無慈悲な発言に、僕たちはまるで心臓に氷の槍を受けたような気持ちになりました。
「敗者にはそれ相応の報いを与えてやらねばな…敗者の罰として、君たちの超人キャンディーをいただこう」
彼が指を鳴らしますと、彼らの口から次々に超人キャンディーが吐き出され、それらは一斉に彼の元へと集まりグルグルと宙に舞いつつ、円を描き始めました。
「では、いただくとしよう」
彼がその無表情な口をカパッと開けますと、青、ピンク、茶、銀の色をした4個のキャンディーはたちまち彼の口に吸い込まれてしまいました。
そして彼は口を閉じたかと思うと、口だけ開けて僕でもあまりの恐ろしさに震え上がりそうなほど怖い笑い声を発しました。
「これで彼らは、能力者からただの愚かな下等極まりない生物人間に成り下がった…それでは、星野天使にメープル=クラシックよ。今度は君たちを倒し、その体内にある超人キャンディーをいただくとするかな…フハハハハハハハハハハ!」
彼の瞳の輝きが以前より増したと思ったその刹那、彼は僕たちに向かって冷気を吐き出しました。