複雑・ファジー小説

Re: わかりあうための闘い ( No.21 )
日時: 2014/08/27 05:45
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

フレンチsid

スピーカーから現在流れている曲は、とあるアニメ番組のエンディング曲として使用されていた『イエィ、イエィ、イエィ!』です。

イントロが流れ始め、僕は独特のステップで彼の連続攻撃を避けていきます。

「なっ…!スピードが増した?」

彼がそうつぶやいた途端、曲がスタートしてしまいました。

『そうだ、イエィ、イエィ、イエィ、イエイ、イエイ…』

僕は跳躍で彼との距離を置きます。

「ダークブラスター!」

ここで僕を一気に倒そうと、彼は闇の力を込めた強力な破壊光線を放ってきます。

ですが、その光線は目の前で真っ二つに軌道が分かれ、観客席の壁に命中し、壁を破壊してしまいました。

「あの壁は高価なのに、弁償できるんですか?」

「うるさい!黙れ!僕は世界の帝王になるべき男なんだあああああ!」

彼は自分の双方に闇の力で巨大なドラゴンを2頭生み出します。

「あいつを殺ってしまえ!」

そこで僕はすかさず、睡眠音波をフルートを吹くことで発生させ、2頭を鎮静させることに成功しました。



スターsid

ふむう…

私はこれまでの試合を観戦していてため息が出てしまった。

「やはり、地球人には武器を持たせるというルールは採用しなければよかっただろうか…私は武器を持たない肉弾戦やプロレスの方が、はるかに面白いと思うのだが…君はどう思うかね、ジャドウくん?」

「そうですなあ…やはり人間同士、それも少年少女が大半の出場者であることを考慮して考えますと、武器の使用もいたしかたのないものになってしまいますな。会長は技と能力だけで競い合うクリーンファイトをお望みですかな」

彼の問いに私は頷く。

「もちろんだよ。ただ、参加者はフレンチくん以外プロレスをやったことのない子ばかりだから、白熱するバトルが拝見できるかどうかが少々疑問でね…」

すると彼はいつものようにニヤリと不敵な笑みを浮かべ、

「ならば、今すぐにでもステージとルールの変更をいたしましょう。
超能力者たるもの、どんな状況下におかれても動揺しないことが大切ですから、彼らにそれを試すにはうってつけの方法でしょう」

彼の意見を聞いた私は、早速この大会の運営委員である私の弟子を呼び寄せ、指示を与えた。

指示を受けた彼らはすぐさま行動を開始した。

私の弟子たちは本当に気が利いて助かる。



フレンチsid

僕が彼と戦闘をしていますと、突然ホイッスルの音が鳴りました。

これは運営委員が試合中断を知らせる合図で、よほどのことがない限り鳴らさないことになっていますが、一体何があったというのでしょうか?

取りあえず僕と彼は動きをとめて、運営委員の取る行動を待ちます。

すると、運営委員の代表のひとりである不動さんが、マイクを取り、口を開きました。

「ガキ共、悪いがルールの変更だ。ただいまより試合の内容を損ねるという理由から武器の使用は一切禁止というルールになった。あと、対決のステージは、これからプロレスのリングに変わる。急な変更で不満はあるだろうが、会長の指示だ。悪く思うな」

彼はそれだけ言って去ってしまいました。

他の出場者は不満をぶつけますが、それにはお構いなく、僕以外の武器は没収され(僕のは正確に言うと武器としてではなく、楽器として登録していますので、セーフです)、それぞれ素手でリングの上で闘うことになりました。

リングは一見狭いように見えますが、実はかなり広く、その気になれば、20人ぐらいは入ることができます。

また通常のルールと違い、デスマッチですのでロープを使った攻撃や、目つぶしや急所攻撃も認められます。

こう言った点ではかなり優しいルールだと言えますね。

最もプロレスの経験のない彼らにとってはそれでもまだ厳しいルールだとは思いますが。

僕はルンルン気分で一飛びでリングへ上がり、彼が上がってくるのを待ちます。

今までは彼に有利だった試合の方式があっという間に僕が有利なものに変更されてしまいました。

ですが、彼は格闘においても実力は超一流だと豪語していましたから、きっとそれなりの実力は持っているものだと考えていますが、果たしてどうなるのでしょうか?

次回予告
試合で敗北した出場者たちが行き着く先とは…