複雑・ファジー小説

Re: わかりあうための闘い ( No.23 )
日時: 2014/08/27 05:47
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

廉道sid

現在第1回戦を勝ち抜いたのは、雲仙愁二くんとベリークラウンちゃんのふたりか…

僕は負傷した雄介くんと非檻ちゃんを能力で治療してあげつつ、そんなことを考えた。

今始まっているのは、フレンチくんとルナティクスくんの試合かぁ…彼らの治療が終わったら観戦しに行こうかな。

「…ここは…?」

「おや、気が付いたようだね、雄介くん。ここは大会会場の医務室だよ」

「医務室?」

「そう。この大会は君も承知の上で参加しているのかもしれないけど、とにかく怪我人が多いからね」

「あんたは…?」

彼は僕を見て、怪訝そうな顔をして訊ねる。

「僕はここの医療班のひとり、廉道って言うんだ。ちなみにここの出場者でもある」

するとまたしてもここの扉が開き、負傷者が運ばれてきた。

「これは…かなり酷く痛めつけられたようだねぇ…フレンチくんは降参するように言わなかったのかな?」

担架で運び込まれてきたルナティクスくんは、腕や足の関節が通常ではありえない方向に曲がっている。

これはフレンチくんの得意技のひとつである『パロ=スペシャル』をかけられた証拠だ。

あの技はかけられたらそれこそ最後だから、かけられないように注意しないとね。

そういえば、予選の負傷者の大半は、フレンチくんに舐めてかかって痛めつけられた子ばかりだったなぁ…

「あの子は、あの外見で滅茶苦茶に強いからね。外見で人を判断するのはよくないよ。それから、世界の帝王になるだなんてことは、これでもう懲りたほうがいいと思うよ」

彼は無言で頷いた。

当初、彼のプロフィールを読んだとき、結構危険な思考の子だなと思ったから、対戦相手が悲惨なことになるだろうなと予想していたけど、彼の対戦相手がフレンチくんでよかった。

これほどこっぴどく痛めつけられたら、もう世界征服なんて思いたくないだろう。

もちろん、僕は紳士であり医者であるから、こんなことは思っても口には決して出さない。それが僕のポリシーなんだ。

3人を治療し終わった僕は、彼らに今は休養を取るようにと言ってベッドへ寝かせ、他の医療班の人にこの場は任せ、会場へと向かった。

治療が終わったとは言っても、完全回復するにはまだまだ時間がかかる。

それまでゆっくり休養してもらわないとね。

次回
Aブロック第1回戦第2試合の幕が開ける!