複雑・ファジー小説
- Re: わかりあうための闘い【出場キャラ大募集!】 ( No.5 )
- 日時: 2014/09/20 21:03
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
雄介sid
「お前の力はその程度の軟弱なものだったという訳か。俺の足元にも及ばん」
俺は今、不動と名乗る男と交戦しているが、大苦戦を強いられている。
何しろ、能力が使えない。奴が俺の能力の源であるカードを、自身の能力で消滅させてしまったからだ。カードがない俺は丸腰。当然のことながら、戦闘能力も大幅に減少する。
「ガキは俺が殲滅する!」
剛腕を振るい、その拳の威力を持って地面に亀裂を発生させる、不動仁王。
ちなみにこれは能力ではなく、修行をすればこれぐらい簡単にできるようになるというが、俺からしてみればたとえ100年修行しても不可能な技に見える。
コイツは本当に人間なのかという疑問が俺の頭を掠めた。
勝てない、そう判断した俺は、力の限り走った。足がもげそうなほどの激痛に耐え、走り続ける。肺が破裂しそうなほど苦しくても、走るのをやめることはできない。
なぜなら、もし今ここで走るのをやめてしまえば、般若のような恐怖の顔を持つおっかない不動の拳の前に、俺は確実にハエのように叩き潰されてしまうだろうから。
走り続けるうちに息が乱れ、汗が噴き出し、俺の体は限界に達しそうだった。
だが、そんな俺とは正反対に、かなりの距離を走っているというにも関わらず、彼は息ひとつ乱していない。コイツは、化け物か。
「走るがいい、この俺に往生されたくなかったらな!」
国語の授業で習った、『走れメロス』の主人公メロスの境地が少しだけわりかけたとき、俺の目の前に、天国かとも思える光景—すなわち開会式が行われるスタジアムが見えた。
野生的に吠え、全身の力を振り絞り、試合会場に入った。床に手を突き、ふと後ろを振り返ると、奴の姿はなかった。これはあくまで俺の推測だが、たとえ運営委員であっても、1歩でもこのスタジアムに入ったら、出場選手に手を出すことは禁止されているのだろう。
九死に一生を得た俺が、他の運営委員の導きでホールに行くと、そこにはもう既に10人ほどの能力者たちが到着していた。
なるほど…こいつらがライバルってわけか…
さっきの疲れはどこに行ったのか、これから死闘を繰り広げるライバルたちの顔を見るうちにアッという間に吹き飛んでしまった。俺はライバルたちの気迫に飲まれてはならないと、闘志を燃やす。優勝して、世界一の能力者の称号と、賞金の10億を手に入れるのは、この俺、上条雄介だ!