複雑・ファジー小説

Re: わかりあうための闘い ( No.66 )
日時: 2014/08/18 16:33
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

フレンチsid

ついにやって来ましたね、準々決勝。

いきなり僕からの試合のようですが…

対戦相手は一回戦を、能力未使用かつ圧倒して勝利したベリー=クラウンさんです。

しかし今回は一回戦とは違い武器が使用できないので、彼女はかなり不利な立場にいますが、武器なしで彼女がどこまで闘えるか見ものですね。

そんなことを考えながら、僕はリングへとあがりました。

空は晴れ晴れして雲一つない本当にいいお天気です。

まさに試合をやるにあたっては、最高の天気でしょう。

「ベリーさん、今日は正々堂々いい試合をしましょうね!」

「わかった…でも、あたしには見えている…自分の勝利する姿が…」

「それは随分と強気ですねぇ。そうだ、今回は能力使うんですか?」

「…教えない」

「そうですか〜、楽しみですね」

カーン!

試合開始のゴングが鳴り、僕と彼女の一戦が始まりました。

僕は彼女から攻撃させてあげようと待っていますと、いきなり彼女が持っていたおおきなうさぎのぬいぐるみが、彼女の手から離れて勝手に動き出しました。

ぬいぐるみは僕目がけてキックやパンチを撃ってきます。おそらくこれが彼女の能力なのでしょう。

「ウフフッ、可愛らしい攻撃ですが、僕にはあたりませんよ」

持ち前の身軽さを存分に発揮して、ぬいぐるみの攻撃を避け続ける僕でしたが、この攻撃の恐怖はここからでした。

「…じゃあ、ここからは2対1でいかせてもらう…」

「!」

不意に彼女が強烈なハイキックを放ってきたのです。

隙を突かれヒットされてしまいましたが、それにしてもなんという威力なのでしょうか。普通の人が繰り出すキックの2倍の威力があります。

とても女性の足から繰り出されたものとは想像できませんが、彼女は間違いなく女性なのです。

かと言ってどこかで鍛えたのだろうという考えもあまりに短絡すぎますし、それに仮に短期間で鍛えたところで、これほどのキック力の上昇はあまりにも不自然なのです。

ですが彼女が二発目のキックを放った時、謎は解けてしまいました。

「なるほど、考えましたね。靴の裏に鉄板を仕込んでキックの威力を上げていたんですか」

彼女は靴の裏に鉄板を仕込んでキックの威力を増大させていたのです。漫画やアニメではよく見かける手段ですが、まさか本当に実践する人がいただなんて…

少なからず彼女に敬意を表さずにはいられませんでした。

「素晴らしい知恵を見せていただいたお礼と言ってはなんですが、僕のキックを食らってください」

微笑んで飛び上がり、体を軸にして猛回転を引き起こし、足に炎を纏って彼女を蹴り上げようとします。

「……ッ!」

ですが、攻撃が当たる寸前にぬいぐるみが割って入り僕の攻撃を身を挺して防ぎ、なんと僕の足を捉えジャイアントスィングを敢行します。

僕はその遠心力を逆に利用して、コーナーポストの最上段に立つことができました。

「さすがはベスト8に残っただけのことはありますね。そんなあなたに敬意を表して、僕の得意技を見せてあげますね」

コーナーから足のバネの力で飛び上がり、僕は得意技を炸裂させました。

「星空の舞い!」