複雑・ファジー小説
- Re: わかりあうための闘い【参照1000突破!】 ( No.87 )
- 日時: 2014/08/21 19:02
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
星野sid
「僕と闘うんですか」
「あなたはわたしたちが止めないといけないんです!」
僕の目の前に立ってそう宣言するのは、金髪に切れ長の緑の瞳に白い肌、赤いチョッキが特徴のメープルさんと、長い金髪に青いドレスと銀色のピアスの日向葵さんです。
「どうしても?」
念には念をと彼女たちに確認を取ります。
「「どうしても!」」
彼女たちは、どうやら僕との決闘に文字通り命を懸ける覚悟のようです。
本当に、どうして人間はこうも僕の理解を超えた行動をとるのでしょうか。全く理解できません。
すると日向さんが口を開きました。
「星野くん、あなたとメープルさんはお互い愛し合っていたのでしょう?わたしはあなたたちのカップルをもう一度甦らせたいのです。両思いの愛は本当に素晴らしいものですから」
「思い出してください。わたしやみんなと過ごした素晴らしい日々を」
彼女の瞳に涙が溢れてきました。
人間はどうしてこうも簡単に泣くのでしょうか。
僕は堕天使と言われた時にしか泣きません。
僕が彼女を愛していたのかどうかは記憶にありませんが、一時的なものでしょう。
天使は博愛。ひとりの人を愛し続けることなんてありえないのですから。
僕は泣いている彼女たちを放ってその場を立ち去ろうとしました。
天使として人を助けないのはどうだろうかと言う声が聞こえてきそうですが、彼女は勝手に話して泣いているだけ。つまり自業自得です。
「待ってください!」
日向さんが僕を引き止めます。
ですが僕は彼女に構っている暇はありません。
なぜなら僕は漫画の最新刊を読むので忙しいのですから。
「嫌ですね」
リュックから漫画を取り出して、浮遊しながら読み進めます。
僕は普段地に足をつけるということがほとんどありません。
天使は浮遊しているのが当たり前ですからね。
「待ってくださいっていいましたよね?どうして待たないんですか!」
右隣から声がしましたので見てみますと、なんと日向さんが僕を追いかけてきました。
どうやらそこまでして僕と対戦したいようです。
ここまでするのですから、仕方ありません。
ほんの少しだけ彼女たちの相手をしてあげましょうか。