複雑・ファジー小説
- Re: わかりあうための闘い【感想ほしいです!】 ( No.98 )
- 日時: 2014/09/20 04:22
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
儀仗sid
俺たちは現在突然地面から現れたリングでフレンチと対峙していた。
彼とリングで戦闘を繰り広げているのはラグだ。
「ラグくん、きみは会長さんの執事として存在しているだけあって、なかなかやりますね」
奴は彼のフライングニールキックをかがんで避けながら、話しかける。
「いえ、僕なんか全然…」
すると不意にラグが残像が見えるほどの速さで彼の後ろに回り込み、ロメロスペシャルの高等技術をかける。
この技は手足ともにがっちりロックされているため、脱出が不可能だと言われているが、奴はいともたやすく脱出し、着地する。
「謙遜する必要はありませんよ。きみは強い。でも…」
今度はフレンチがラグをアルゼンチンバックブリーカーに捕える。
「僕よりは強くありません」
ラグの体は弓なりに曲がっているが、痛くもなんともないらしい。
まあ、ラグはアンドロイドだし、当然と言えば当然だが…
「儀仗さん、これがただのアルゼンチンバックブリーカーだとお思いですかーっ!」
奴は俺に向かってそう言うと、そのままの体勢でジャンプし、宙を舞う。そして、
「ハリケーンバックブリーカー!」
猛烈な回転を引き起こし、高速落下することで威力を従来のバックドロップの10倍…いや、それ以上に高め、リングに落下した。
フレンチは技を外して倒れ伏したラグに情けをかけず、今度は先ほどラグがかけたロメロスペシャルを逆にお見舞いした。
「ウワーッ!」
技の威力に苦悶の表情を浮かべるラグ。
彼の体からは、ダメージを負っている証であるショートが起き始めている。
しかしラグはショートを逆利用し、体から溢れ出る煙を使いフレンチを咳き込ませてロメロから脱出すると、右腕をまるでドリルのように回転させると、立ち上がってきた彼にパンチを放った。
「これが必殺のスクリューパンチでございます!」
不意の攻撃ということも手伝い、敵をよろめかせることに成功した彼は一気に勝負を決めようと超必殺技を発動させた。
「元祖パロスペシャル!」
これはメープルの必殺技でもあるが、ラグの場合は体がメカでできているためこちらのほうが威力が段違いに高い。
だが、そんな彼の必殺技をまともに食らっても、奴は平然としている。
そしてなんと技を極められている状態で彼の腕を掴み、力任せに技をはずし、彼をコーナーポストへと叩き付けた。
なんて強ぇ野郎だ…!
本大会ベスト4入りしている実力は伊達じゃねぇ!
フレンチは間髪入れずにコーナーポストの最上段からニードロップをお見舞いするが、寸前でラグに回避され、膝にダメージを負った。
けれどすぐに起き上がり、満身創痍のラグに卍固めをかけた。
「ラグくん、きみはスターレスリングジム№1の僕相手によく闘いました。でも、これで最後です。それでは、最後に言い残すことはありますか?」
「…儀仗様…」
彼は潤んだ瞳で俺を見つめる。
「僕とチームを組んでいただいて、本当にありがとうございました。少しの間ですが、あなた様と一緒に闘えてよかった…」
「ラグ、待ってろ!今助けてやるからな!」
俺が飛び出そうとするが、彼は首を横に振った。
「僕のことはいいんです。僕は人に仕えるために生まれてきました。今のご主人様であるあなた様を守るためなら、この身が滅んでも一向に構わないでございます」
「バカ野郎!俺たちは主従関係じゃねぇ!俺たちは…友達だろうが!
アンドロイドも人間も俺にとっちゃかわらねぇ!お前は誰がなんと言おうと、俺の友達だ!」
するとラグの瞳から涙が流れ、
「…僕の友達になってくださって、本当にありがとう、儀仗さん…」
そう言ったかと思うと、ラグの瞳から光が消えた。