複雑・ファジー小説

Re: わかりあうための闘い【感想ほしいです!】 ( No.99 )
日時: 2014/09/20 04:25
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

ヨハネスsid

ラグくんが、機能停止(瀕死)した。
この事実に僕はショックを隠し切れなかった。
なにしろ彼は、スターレスリングジムの事実上の№2の実力者だっただけに彼が倒されてしまったのは痛い。
担架に運ばれ大会場の医務室に向かう彼の姿に僕は胸を痛めた。
けれど、そんな僕よりも一番胸を痛めているのは、彼のパートナーである儀仗さんであることは、誰にでもわかることだった。
彼は熱い男の友情の涙を流しながら、キッとフレンチくんを睨んだ。
「友の無念は俺が晴らす!」
そのとき、不動さんと井吹くんがいるリングが大きくクローズアップされた。
「やはりガキは弱い」
不動さんの凶悪顔と共に彼に足蹴にされた井吹くんが映る。
「不動さん、俺はあんたに弟子として認めてもらうまでは、絶対に屈するわけにはいかないんだ…」
「生意気な井吹のガキ。お前はここでおとなしく俺に往生されるべきなのだ!」
彼は井吹くんの片足を掴み片手だけで軽々と持ち上げると、野球のスウィングのように振り回して、彼をリングの場外へ放り投げた。
場外は土だからコンクリートよりはマシだけど、それでも痛いことには違いない。
彼はリングを降り立ち彼を数回蹴り倒し、再びリング中央へ放り投げ、彼の後を追いかけリングインする。
「ガキ共は、いつもいつもこの俺に迷惑ばかりかけている!何百年もの間、俺がどんな気持ちでロクに学びもしない上に愚行を続ける下衆なクソガキ共を地獄へ往生させてきたか、井吹のガキ、お前などに…お前などに俺の気持ちが理解できるわけなどない!」
圧倒的破壊力を誇る拳で、彼の顔を穿つ不動さん。
もはやこれは試合ではなく一方的なリンチにしか見えない。
けれど井吹くんは顔面を血ダルマにしながらも、不屈の根性で立ち上がり、
「ああ…確かに、俺とあんたじゃ生きてきた年数が違いすぎる。けどな不動さん、俺も世界の平和を願う気持ちはあんたとおんなじなんだぜ」
「何ッ!?」
彼はサッカーで鍛えたバネを生かし、彼に渾身のヘッドパットを浴びせた。
「これが俺の実力だぁーっ!」
彼はおがみ打ちを食らわせようとするものの、彼にガードされる。
「お前の実力など俺の前では無意味。いい加減に諦めろ、井吹のガキ!」
彼の裏拳を受けロープまで吹き飛ばされ、たて続けにラリアートを食らってまたもロープに飛ばされ、止めのビックブーツで彼はついにダウンを喫した。けれどなおも立ち上がろうとしている。
「悪いが俺は、まだまだ闘えるんだよ!」
彼は血を吹いて目くらましをすると、一瞬の隙をついて彼に飛び乗り首四の字固めをかけた。
「フン。井吹のガキにしては考えたな。だが、お前は所詮俺にダメージさえ負わせられぬのだ!」
彼はその屈強な腕で首四の字を外し、驚愕する彼をアッパーで吹き飛ばした。
このムーブはまさか…!
「井吹のガキ、お前は俺が完璧に往生させて殺る!」
クワッとさらに目を見開き般若の如き凶悪顔になった彼は、上空で失神している井吹くんの腰を掴みジャーマンの体勢を取り、そのまま落下とともに高速で回転を加える。
「不動倶利伽羅落地!」
この瞬間試合終了のゴングが鳴り響き、不動さんの勝利が決まった。