複雑・ファジー小説
- Re: Overcome ( No.14 )
- 日時: 2016/08/01 14:58
- 名前: よをこめて (ID: XOYU4uQv)
しばらく歩くと、扉が見えてきた。
「ここが食堂です。」
メイの前を歩いていた3人がほぼ同時に立ち止まり、習が振り返って言った。
圭はその扉を開けて中に入っていく。
智也もそれに続いた。
習は中には入らず、メイに中に入るように促した。
メイは右肩にかけたスクールバックの紐を強く握り、中へ入った。
そこには50名ほどだろうか、男子生徒が騒いでいた。
メイが中に入るとその騒がしさはなくなり、視線はメイに向けられた。
「今日から入る、林メイちゃんです!」
圭が手をメイの方に向けながら紹介をすると、メイはうつむいたまま軽く頭を下げた。
「女?」「きたー!」とまた、食堂は騒がしくなった。
「部屋はー?」
その一言でまた静かになった。
「俺は知らないよ?どうせ、あのくそニートが決めんだろ。」
「誰がくそニートだ。」
圭が答えてすぐに開いたままの扉から声が聞こえた。
そこには20代後半と見える男性が立っており、その後には習がいた。
メイは驚き、誰もいない隅に移動した。
「おめぇだよ、くそニート」
「俺はちゃんと寮監って仕事してます〜」
「よく言うよ。特に仕事もあるしてねぇくせに」
「なに〜?」
今にも殴り合いの喧嘩が始まりそうになったとき、習が2人の間に入った。
「健さん!林さんに説明するんじゃなかったんですか?」
習が男性に言った。
「あぁ、そうだった。そうだった。」
男性は隅でうつむいているメイの方を向いた。
「林さんだっけ?ちょっと来てもらってもいい?」
いきなり名前を呼ばれたことにメイはビクッと肩を震わせた。
男性が出ていき、メイも戸惑ながらついて行った。
食堂に来た道を戻り、入ってきた玄関を過ぎ、そのすぐ横にある部屋についた。男性はドアを開けて先に入った。メイも中に入り男性が座った1人がけのソファーのテーブルを挟んだ向かいのソファーに座った。
「この寮は学校でも小規模で、3年2組から20名、
2年6組から14名、1年3組からは林さんを含めて18名。
計52名の生徒がいます。部屋割は2・3名です。」
男性はメイが座ると同時に話を始めた。
「で、俺がここの寮監の北原健介。寮長の圭とは従兄弟だ。みんなからは健介とか健さんって呼ばれることが多いかな。まあ、好きに呼んでくれていいよ。」
健介は最初のマニュアル通りの説明からかわり、自分の調子で話し始めた。
「あ、そうだ。林さんの部屋なんだけど、余ってる部屋が、もうすでに1人入ってる部屋しかないんだけど...。」
メイは固まった。1人部屋ならまだいけると希望があったが、それはすぐに消えてしまった。
「じょ...女子寮は...」
メイは声を振り絞って出した。
「あ〜あったんだけどね?あまりにも女子が入ってこないから3年前に男子寮に変更されっちゃったんだよね〜。」
なんとも軽く健介は答えた。メイはもう言葉も出なかった。
「まっ、大丈夫だって!ここの奴らは比較的に穏やかだから!」
そんな言葉にメイが安心出来るはずもなく、とりあえず、と部屋の鍵を受け取った。鍵には『205』と書かれていた。
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