複雑・ファジー小説
- Re: 堕ちてゆく僕ら−厨二ノ世界− ( No.15 )
- 日時: 2014/09/04 19:04
- 名前: ヨモツカミ (ID: cqAdOZIU)
第3話 坂ノ下高校 ヒーロー部!
新しい高校生活、四日目。大分この学校にも慣れ始め、特に、問題なく、高校ライフを満喫していた。
「雅、ラグナロクの予言だ」
突然、背後から長谷川君に呼び止められた。今までの僕ならば、今の意味不明な発言に首をかしげている所だが、今の僕には分かる。
おそらく、「部活のお知らせだよ」と、言ったのだ。
長谷川君は、次の授業である、四時間目の体育のに備えて、既にジャージ姿だった。
長谷川君は、包帯を巻いてない、右手で小さな白い紙を差し出した。
『金色(こんじき)の五日間が、過ぎ去りしとき、丑の刻の学校に集合』
……ゴールデンウィーク明けに、夜の学校で肝試しをしよう、と言う意味だろうか。
長谷川君は、僕に紙を渡すと、体育館に向った。
僕も早く着替えて、体育館に行こう。
†
体育の授業は、バスケをやったのだが、山田君がほぼ一人で得点を決め続けるだけだった。僕にいたっては、ボールに一度も触れる事無く、授業が終わった。
噂によれば、山田君に取り付いた悪魔、サタンの力で、中学の時は、全国に行くほどの実力だったと言う(情報提供者・長谷川君)。
そんな山田君が、なぜバスケ部でなく、帰宅部なのか。家庭的な事情もあるのかもしれない。
四時間目も終了し、昼食を買いに、1階の購買を目指していた僕の前に、三人の男子生徒が立ちはだかる。
「いよぅ、少年。ちょっと待ちなぁ」
着崩した制服、金色に染め上げられた髪。ピアス。無数の傷跡。
間違いない。彼らは、不良だ。
不良三人に勝てるはずがない。逃げようとしたが、しっかり囲まれてしまい、逃げ場がなくなっていた。
ワックスで逆立った金髪が、スーパーサイヤ人を連想させる男が「オレサァ、お金に困ってんだよねぇ」と、言った。
鼻に輪っかのピアスを着けて、牛を連想させる男が「言いたいこと分かるよねー? 先輩達お金欲しいんだよねー」と言って、壁に手を付いた。壁ドンというヤツだ。女子は、壁ドンで喜ぶらしいが、何がいいのか。
実際の壁ドンは、恐怖以外のなんでもない。
「……僕、購買に行きたいんですけど」
「先輩達も購買でパン買うお金ほしいんだよねー」
何も言わずに腕を組んでいた、ツーブロトサカ頭の男が声を荒げて言う。
「いいから金出せよオラァ!!」
びくりと、肩を震わせた……フリをした。実際、かつ上げなんて、慣れてしまったので、どうにかして、逃げる機会を窺っているだけなのだ。
足の速さには自身があるので、どうにか隙をつければ、逃げ出すことなど簡単である。
その“隙”を付くのが、結構難しいのだ。
今回はどうしたものか。ツーブロトサカ頭は、今にも殴ってきそうだ。スーパーサイヤ人は、かめはめ波を撃って来ないか心配である。
「おい、お前ら! やめるんだ!」
突然聞こえた声に、不良と僕は、声の主を凝視した。