複雑・ファジー小説
- Re: 堕ちてゆく僕ら−厨二ノ世界− ( No.9 )
- 日時: 2014/08/17 20:38
- 名前: ヨモツカミ (ID: cqAdOZIU)
第2話 終焉の魔物を飼い馴らす救世主(レヴィアタンを飼い馴らすメシア)
放課後の、人気のない四組の教室で、歴史のノートを眺めていた。
クラスメイトにノートを貸したら、一番最後のページに落書きをされたのだ。かなりクオリティーの高い、聖徳太子の絵だ。
「……中島」
確かに上手い。まるで印刷したかのようだ。
しかし、今週末に、歴史のノートは提出しなくてはならない。中島には悪いが、聖徳太子は消させてもらう。
「赤城ー! 部活行こうゼ!」
三組の、我らがヒーロー部の部長、村松疾風が、教室に飛び込んできた。
疾風はオレのノートを覘いて「うわっ。歴史の教科書に載ってる人!」と、叫んだ。
「聖徳太子な。中島に描かれた」
「中島って誰」
「中島実津男」
「ミツオ……ああ!」
やっと理解した疾風は「大天使ミカエル様っていってくんねーとわかんねーよ!」と、言った。
俺にはそっちの方が分からないが。
きょとんとした顔の俺を見て、疾風は「お前、ミカエル様しらねーの!?」と言ってきた。
「ミカエル様は、地上に現れた悪魔・サタンを倒す為に中島に取り付いた天使なんだゼ!」
「へぇ。サタンって、お前のクラスの山田だよな。この間、サタンとミカエル様、一緒に下校してたぞ」
「戦闘中だったんだな!」
なるほど。会話を盗み聞きした所、魔法少女について議論していたが、あれは戦闘だったのか。
疾風は突然廊下のほうを見て、「あ、転校生だ。話しかけてくる!」と言って、教室を飛び出していった。
本当に騒がしいヤツだ。
引き続き、聖徳太子を消しゴムで抹消していく。
廊下のほうで「まって! 坂ノ下レッド!!」と、叫ぶ声が聞こえた。
そう思った次の瞬間、酷い騒音を立て、バケツがひっくり返る音と、人が走り去る音が聞こえた。
ケシカスになった聖徳太子を、ノート上から掃って、廊下に出た。
「……なにがあったんだよ」
廊下の端の方で、掃除用のブリキ製のバケツを被り、ビショビショに濡れ、水を滴らせた状態で立ちすくむ疾風がいた。
疾風が、ゆっくりと呟く。
「あの転校生、マジヤベー」
「今のお前の状態も、マジヤベェけどな」