複雑・ファジー小説

Re: 太陽天使隊 ( No.19 )
日時: 2014/09/23 20:41
名前: スクランブルエッグ (ID: EhAHi04g)

フレンチside

試合開始を告げるゴングが鳴り、僕と彼の試合が始まりました。
僕はまず、相手がどれほどの実力を持った選手なのか確かめるべく、わざと攻撃を仕掛けずに仁王立ちになりました。
それを見た彼は、薄笑いを浮かべながら、腰の鞘に納めてある日本刀を引き抜きました。普通の刀は銀色に光り輝くものですが、彼の刀はなぜだが、漆黒の色がしています。

「これが僕の愛刀。命を失うのが惜しかったら、さっさと棄権するんだね」

彼はそう言って、僕の返事も聞かずに急接近しますと、刀を真上に振り上げてきました。
僕は彼に斬られる数ミリ手前でそれを真剣白羽取りで受け止め、そのまま力を加えて、真っ二つにヘシ折ってしまいました。

「僕の愛刀、天魔業焔刃・神羅が…」

彼は折れた刀を手に、ほんの僅かな間、呆然と立ち尽くしていました。
ですが、彼は僕を鋭く睨みつけて、乱暴に刀を放り棄てますと、その拳を放ってきました。
慌てず騒がず、彼の唸りを上げて迫ってくる右ストレートを肘で弾き、空いた懐に左ストレートを返します。
これは、とあるボクシングの漫画で有名になった、ダブル=クロスカウンターです。
ただでさえ威力の強いカウンターパンチであるクロスカウンターの、更に倍の威力を誇るパンチですから、一般の人が食らってしまえば、間違いなく死に至っていた、この殺人パンチを受けても、彼は立ちあがってきました。
さすがは、予選を勝ち上がってきた能力者だけの事はあるようです。

「そろそろ、僕の能力のお披露目と行こうかな」

彼は拳に力を加え「はあぁ…」と覇気を発動し始めます。すると、彼の周りに青紫色のオーラが放たれました。

「今ので、僕の身体能力は格段に上昇した。きみなんか敵じゃないよ」

彼は先ほどの倍の速度で僕に接近し、足蹴りをお見舞いしますが、彼の足を捕まえ自分を軸にして回転することで、遠心力を生み出し、彼を放り投げます。
僕の手から離れた彼は、大理石の床に思い切り叩き付けられ、額から一筋の血を流します。

「世界の帝王である僕が、高貴な血を流した…どうやらきみは、余程僕に殺されたいらしいね」

彼は両掌から薄紫のエネルギー弾を僕目がけて放ちますが、寸前のところでそれをジャンプして回避した僕は、上空から彼に真空飛び膝蹴りを炸裂させます。
彼は鼻を負傷したらしく、ポタポタと鼻血を流しながら、眉間に皺を寄せて、先ほどまでの穏やかな顔とは一変した怒りの表情を向けます。

その形相は、不動さんとまではいきませんが、こういうものが苦手そうな人が見たら、きっと恐怖で震え上がってしまうんじゃないかな、と言った顔でした。
彼は鼻血を手の甲で拭って、僕に低い声で語りかけました。

「きみは、僕を怒らせるのが好きなようだね。そんなきみに敬意を表して、僕の最強必殺技で葬り去ってあげるよ!」