複雑・ファジー小説

Re: 太陽天使隊 ( No.20 )
日時: 2014/09/23 20:44
名前: スクランブルエッグ (ID: EhAHi04g)

ルナティクスside

南国の美しく青い海を思わせる碧眼、真夏の太陽のように輝く、つややかで黄金色に光り波打つ金髪、まるで、真冬の一面白銀色に覆われた世界の思わせるほどの繊細な美しさを放つ、透き通るように白い肌、りんごのように赤い頬、桜の花びらのように優しくも儚いピンクの唇、人形のように細くしなやかなバランスの取れた手足を持っている、まるで妖精のように可憐な外見の美少年、フレンチ=トースト。

彼は天使のような笑顔で、僕に微笑みかける。
けれど、僕は彼が気に入らなかった。
中性的な外見という意味では、世界の帝王となるべき、この僕と共通していたからだ。

そして彼は、まるで、僕を歯牙にもかけていないかのような態度で軽くあしらっている。
その生意気な態度が、僕は気に食わなかった。
彼は、ついに僕の美しい顔を傷つけるというやってはならない事をしてしまい、僕の逆鱗に触れた。
あまり痛みを与えずに倒してやろうかと考えていたけれど、こうなってしまった以上、話は別だ。

最強の必殺技で、彼を地獄の底に叩き落として、立ち直れないほどの絶望を味わせてあげなけれなならない。僕は、先ほどよりも更に能力で身体能力を増加させると、咆哮を上げて敵に向かって行った。
彼に蹴りの乱撃を何発も浴びせ、血を吐き出させると、ゼロ距離からエネルギー波を撃った。

もうもうと白い煙が立ち込め、彼の姿が煙に隠れる。あれほどの至近距離で破壊力抜群の光線を受けたのだから、まともであるはずがない。
煙が晴れ、現れた光景はボロボロになって床に倒れ伏したフレンチの姿だった。

弱かった…

彼は能力を発動する間もなく、僕の必殺技を食らって倒れた。もはや、判定を聞くまでもない。
僕は彼に背を向けて、悠々とステージを去っていこうと歩き出す。

だが、その時、僕の背中に何かが乗っかった気がしたかと思うと、足をからめられ、両手をチキンウィングで絞り上げられてしまった。

「まさか…あれほど完璧に決まったはずの、僕の攻撃を受けても動く事ができるだなんて!」
「僕—これでも伊達に、スターレスリングジムを卒業していませんからね」

彼は鈴のような凛と澄んだ声で答えながらも、僕の四肢に力を込めていく。
謎の関節技から脱出しようと試みるものの、動けば動くほど、僕の足は開脚していき、足に激痛が走る。
さらに、その影響でますます体が前のめりになり、チキンウィングの威力が上がっていく。
一体、何なんだ、この技は?

「パロスペシャルです。この技が決まった時点であなたの負ける確率は99%、残りの1%はせめてもの情けです」
「偉そうな。僕が世界の帝王になるべき男だぞ、頭が高い!」
「残念ですが、ルナティクスさんは、世界の帝王にはなれません」

彼は優しくも、少し低い声で返した。

「なぜなら、1億年以上前から、世界を管理しているのは、僕たちスターレスリングジムのメンバーなのですから」
「な…っ!」

彼の言った僅かな言葉に僕は耳を疑った。
スターレスリングジムが、世界を管理している…!?

「すみません。僕とした事が、ちょっと余計な事を話してしまいましたね。今の話は話は忘れてください。それでは、そろそろ頃合いですし、試合の決着をつけるとしましょうか」

その刹那、僕の全身の関節が砕ける音がして、目の前が真っ暗になった。