複雑・ファジー小説
- Re: 太陽天使隊 ( No.21 )
- 日時: 2014/09/23 21:10
- 名前: スクランブルエッグ (ID: EhAHi04g)
スターside
「これは面白い試合になりそうだね」
私は本選出場者の一覧を眺めながら、隣に座っている、私専属の少年執事であるランス=アームストロングくん—通称ラグくんに声をかけた。
彼は茶色のツヤのあるオールバックに少女漫画の登場人物がよくしていそうな大きな翡翠色の瞳に、色白の肌で、黒いベスト姿がよく似合う、可愛らしい少年執事だ。
彼はにこやかな微笑みを浮かべ、口を開く。
「おっしゃる通りですね、ご主人様。でも、失礼ながら、もう試合は始まっているのですが…」
彼の発言に、私はピョンと椅子から飛び上がり、会長室を出てみる。
すると彼の言ったように試合は始まっており、既に3試合も終了してしまっていた。
「ああ、何という事だ!誉れ高き卒業生である、フレンチくんの試合を見逃してしまうとは!」
「ご安心ください、ご主人様。フレンチ様の試合は決着がついてしまいましたが、幸いな事に後5試合も試合が残っております。今から特等席でご一緒に観に行きましょう」
彼は優しく私の手を引っ張って、特等席に案内し、私の左隣に座った。
ふと、右隣を見てみると、テンガロンハットに金髪碧眼、西部開拓時代の保安官の恰好をした私の弟子であり、運営委員のひとりである、ロディくんが足を組んで座っていた。
彼は隣にいる私に気がつくと、帽子のつばを上げて軽く挨拶をした。
しかし、いつもは試合の観戦なんかしたがらない彼が、どうして試合を観戦する気になったんだろうか。疑問に思ったので訊ねて見ると、こんな答えが返ってきた。
「次の試合は俺がひいきしている、ナーニャちゃんの試合なんだぜ、会長!これを見ずにいられるかよ!イーハー!」
相変わらずのハイテンションで、彼はそう言った。
彼は、我がスターレスリングジムの中でも屈指のアホの子である。
単純かつ直情的で猪突猛進、それでいて友情に人一倍熱い男なのだが、警察の犯人逮捕に協力して、暴走車を愛馬で追いかけまわし、街中を大混乱にさせると言う悪い癖がある。
前回も彼の暴走追跡のおかげで、犯人は無事逮捕できたそうだが、その度に街の住民に迷惑がかかるため、もう少し暴走は控えて欲しいのだが、彼は一向にやめる気配がない。
どうしたら彼の暴走癖は収まるのだろうか。
そんな事を考えていると、彼のひいきすると言うナーニャちゃんと言う女の子がステージに上がった。
彼が最終予選を担当した子が、どれほどの実力をもっているのか、実に楽しみだ。