複雑・ファジー小説
- Re: 太陽天使隊 ( No.24 )
- 日時: 2014/09/23 21:31
- 名前: スクランブルエッグ (ID: EhAHi04g)
フレンチside
食事時間になりましたので、僕は近くのレストランに行って、お昼ご飯を食べる事にしました。
大好物のチキンの照り焼きを注文して食べていますと、よく知った顔のお客さんが入ってきました。
白いオールバックの髪にオリーブ色の瞳、白い軍服が特徴の運営委員のひとりである、ジャドウさんです。
彼は僕の座っている席の前の席に腰かけますと、昼だというにも関わらず、赤ワインを注文しました。
そして僕の顔を見て、いつものように含み笑いを浮かべ、渋い声で言いましす。
「フレンチよ。ベスト8進出、おめでとう」
「それは、ありがとうございます。あなたに褒められた事なんて、今が初めてかもしれません」
「だろうな、フレンチよ。俺がお前を褒めた事は一度もなかった。と言う事は、賢いお前なら、俺が何を考えているか分かるはずだが…」
「何が言いたいんですか?」
「フフフフ、スターレスリングジムの卒業生だったお前に、ひとつだけ忠告しておこう。お前のくだらん悪巧みなど、俺には筒抜けであると言う事をな…フフフフ……」
彼はワインを一気に飲み干すと、1万円札をカード投げの要領でレジに投げ飛ばし、瞬く間に霧となって僕の前から姿を消してしまいました。彼の一連の動きを見て、僕は冷や汗を流します。
確かに彼には、僕の得物であるフルートで、軽いマインドコントロールをかけていたはずなのに……
さすがはジャドウさん、どうやらマインドコントロールにかかったふりをしていたようです。この事実に、僕は腕組をして少し思案します。
ジャドウさんをマインドコントロールできないとすると、作戦Aは失敗ですね。
そう判断した僕は、早速作戦Bを実行に移すべく、とある場所に電話をかけました。
☆
カイザーside
私は会長の娘であるハニーと一緒に、公園のベンチに座っていた。
青い空に白い雲、晴れ晴れとした天気ではあるが、私の心は悲しかった。
私は本大会で、地球の未来、人類のために、嘗ての仲間を葬りさらねばならない。
それが、私にとっては何よりも辛い事だ。
けれど、背に腹は代えられない。
地球の人類を守るためには、やはり、実力行使するしか方法がないのだろうか。
もし、彼と話し合う事が出来たら、幾らかは心を動かせる可能性もあるかもしれないと言うものを…
なぜ、きみはここまで心を捻じ曲げて、悪の道に走ってしまったというのだ、フレンチくん。
私には、それがどうしてもわからなかった。
あれほど親切で素直で心優しかったあの子が、どうして、あれほどまでに、冷酷になる事ができるのだろう。敵の攻撃を受け続け、顔を一点集中した攻撃と最後のパロスペシャルで相手の四肢を完全に破壊する残酷さ…
一体何が彼を4年の間に変えてしまったのだろうか。
フレンチ=トースト、彼の野望を打ち砕くためにも、なんとしてでも、第1回戦を突破しなければ……
「兄さん、そろそろ行こう」
ハニーが私の手を引いて促すので、ベンチから立ちあがり、ヨハネスくんたちが来ているであろう喫茶店へと足を進めた。