複雑・ファジー小説

Re: 能力者物語 ( No.26 )
日時: 2014/09/23 21:22
名前: スクランブルエッグ (ID: EhAHi04g)

トリニティside

ついに来たか、この私の試合が。

廉道先生の試合が終わった瞬間、私は自分の対戦相手を鋭く睨んだ。
私の対戦相手である、白い髪に赤い瞳、白のつめえり服に首に青色のスカーフをしめて、白いキュロットに白いフィギュアスケート靴姿の美少年、軽井沢隼人くん。
彼は我々と同じ、スターレスリングジムの元同志だった。
だが、彼は卒業して以来、我らと袂を分かち、フレンチ=トーストくんにそそのかされて悪の道に入った。彼は善良ないい人間ではあるのだが、人を疑おうとしない純真な性格に付け込まれ、フレンチくんに利用されている。彼はその事に気づいてはいない。
そして自分の能力で、私たちの仲間を数多く殺めた。だが、真に悪いのは彼ではなく、彼をそそのかし、利用した挙句、少し彼のやり方に疑問を持ったと言うだけで、マインドコントロールまでかけたフレンチくんだ。
打倒フレンチくんは我が友カイザーに任せるとして、彼のマインドコントロールを解くのはこの私の役目。
己の命に代えても、彼の純真な心をこれ以上フレンチくんの好きなようにはさせない。

彼の清き心は必ず、わが愛剣ブレイブレードにかけて、必ず解放してみせる…!



軽井沢side

黄金の甲冑と青いマントに身を包み、颯爽とステージに上がる男性、トリニティさん。

彼は、僕の殲滅対象のひとりだ。
僕とフレンチくんの理想を邪魔するものに、命はない。これが、僕と彼の出した結論。
完璧なる存在である僕らが、スターレスリングジムに代わって、世界を管理する。宇宙人である彼らが地球を管理するより、地球人である僕らの方が、ずっと親しみやすいだろうし、同じ人間だから、他の人間の気持ちもずっとわかる。

長年地球を見守り、管理してきた彼らの役目は、もう終わり。
これからは、僕たちがこの世界を管理して、今よりもっと素晴らしい世界にしてみせる。

「トリニティさん、雪と氷の世界へ、あなたをご案内してさしあげますよ。『白雪の天使』である、この僕がね」
「望むところだ、軽井沢くん。
私も『勇敢なる鳥人』として、きみを遥かなる大空の世界へ連れて行ってあげよう」

僕たちが空中で激しい火花を散らしたその時、試合開始のゴングが高らかに鳴り響いた。