複雑・ファジー小説
- Re: 太陽天使隊 ( No.30 )
- 日時: 2014/09/24 09:08
- 名前: スクランブルエッグ (ID: CMSJHimU)
軽井沢side
彼はついに、僕の挑戦を受けた。
彼は自分の形見である剣を、ステージの外に投げ捨てた。そうまでして、彼は僕と決着をつけたいらしい。
でも一体なぜなんだ?
どうして彼は、そこまでして僕との闘いにこだわるのだろうか。
すると彼は、拳を振り上げ、真っ向から向かってきた。背後を狙う訳でもなく、フェイントを仕掛ける事もない、彼らしい愚直な拳。僕はそれを持ち前の回避によって、楽々と避ける。
しかし、彼は僕がいくらパンチを避けようとも、諦める様子を見せず、何度でも拳を撃ってくる。僕は当初、それを受け止めたり、軽く受け流していたが、彼のあまりの往生際の悪さに、ついにドロップキックを彼に命中させ、彼を軽く吹き飛ばしてしまった。並みの能力者なら、一撃で気絶してしまう僕のキックを受けて立ちあがれるとは、やはり太陽天使隊(アークエンジェルス)の一員である事だけはある。
太陽天使隊。それはスターレスリングジムを脱退したカイザーさんが作り上げた勢力で、愛と平和と人類のために闘う者たちで構成されている。しかしながら、僕らの抗争によって、多くのメンバーを失い、今のところ構成員は彼を含めてたった4人しかいない。
けれど、僕は少数精鋭だからと言って容赦はしない。邪魔をするものは完璧に倒す。
僕は彼の懐に入り込み、彼の右肩を担ぎ上げてジャンプ。そして彼の頭部を自分の両腕でロックし、彼の両足をクラッチして、そのまま高速で氷で覆われた大理石のリングへと落下した。
「アルプス大山脈落としーっ!」
僕の必殺技をまともに受けた彼は血を吐いてダウン。僕の勝利が決まった。
試合終了のゴングが鳴り終わった直後に彼はフラフラになりながらも立ちあがり、
「これだけは言っておくぞ、軽井沢くん…きみは今に知る事になるだろう、フレンチくんの爽やかな外見に隠された恐ろしい悪の心を…」
彼はそれだけ言うと、再び倒れ、今度は完全に気絶してしまった。
担架でスタジアムの隣にある医院に運ばれていく、彼の姿を見ていると、彼が先ほど発した「フレンチくんの恐ろしい悪の心」と言う言葉が気になって仕方がなかった。